熱海市は12日、女子ゴルフツアーで日本人選手最上位の6位に躍進し、日本人トップとなった渡邉彩香(22)さんをたたえた縦9㍍、横1.4㍍の垂れ幕を市役所・消防庁舎に掲げた。
実はこの垂れ幕、2度目の登場で話題になっている。最初に掲げられたのは、年間獲得賞金が初めて1億円を超える1億86万6583円となった女子ツアーが終了し、世界4大ツアー対抗戦のザ・クイーンズでも日本代表として世界一に貢献したあとの昨年12月21日。多くの市民がこの垂れ幕に拍手を送ったが、わずか数日で年末定番の「一筆啓上火の用心」に代えられた。垂れ幕製作の費用を負担し、市民意識の高揚を願った市内和田山有志からは残念がる声が聞こえた。
特筆すべきは、市幹部たちの渡邉彩香さんへの勉強不足だ。彼女は日本の女子プロスポーツ選手で最も稼ぐアスリート。しかも今なお熱海市に住まい、住民税も市に納めている。熱海市の宣伝塔であり、トップ納税者だ。2020年東京五輪はもちろん、今年のリオ五輪出場の最短距離にもいる。昨年もっとも輝いとただれをが認める市民の一人である。
にもかかわらず、当初、昨年末に発表された市の「10大ニュース」に「プロゴルファー渡邉彩香の活躍」はなかった。多くが市外に住む市幹部が熱海市民のアスリートに関心が薄いのか、市民感覚とずれているのか…。結果は6位に急きょ組み入れられたが、これは官僚出身で日本標準にたけた市の最高首脳が市民の声に耳を傾け、”鶴の一声”で押し込んだものだった。
昨年の10大ニュースにおいて「渚小公園に幼児向けの新しい遊具を設置」が「年間ツアー2勝を挙げた渡邉彩香の活躍」を上回っていた、とする市幹部のジャッジにうなずく市民は少数派だろう。
年が明けてあらためて熱海市役所・消防庁舎に掲げられた垂れ幕には、実はこんななエピソードが秘められている。再登板させるなら、多くの観光客が訪れた年始からにしてほしかった。
(編集主幹・松本洋二)
熱海市10大ニュース
1.熱海市立図書館が創立100周年を迎える(11月)
2、JR東日本熱海駅の新駅舎が開業(11月)
3.中張窪石丁場が国指定史跡、十国峠が国登録記念物に(11月)
4.起雲閣有料入館者数(年度間)が10万人を突破(3月)
5.しずおか市町対抗駅伝で熱海市チームが大躍進(12月)
6.熱海市出身のプロゴルファー渡邉彩香さんが活躍(4月ほか)
7.JR伊東線 来宮・伊豆多賀・網代の3駅が無人化(3月)
8.梅まつりの入場者が20万人を突破(2月)
9.渚小公園に幼児向けの新しい遊具を設置(4月)
10.熱海が登場する小説『火花』が芥川賞受賞(7月)
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