前日、電話で飛び込んできたあの情報は本当なのかも-。11日午後、熱海市役所で開かれた「第2回熱海市耐震改修促進対策本部会議」を傍聴していてそう思った。
熱海市は改正耐震改修促進法の成立を受け、斎藤栄市長を本部長、田辺国治副市長、渡辺昭信観光建設部長が本部長代理となり、対策本部を設置している。
同法の改正により、旅館ホテルなど延べ面積5000平方メートル以上の大規模建築物は、2015年末までに耐震診断を義務付けられた。静岡県内には診断未実施のホテル・旅館がまだ47棟あり、その8割が伊豆地区で、この日の説明では熱海市には11施設12棟あるという。
耐震診断、耐震工事には国、県、市がそれぞれ補助金を出すのだが、これがこころもとない。シミュレーションによると、耐震改修工事(6000㎡の場合)には2億8380万円かかり、国は全体の3分の1にあたる9400万円。県と市が各5.75%負担し、各1630万円。結果的に事業者は55・2%の1億5660万円の負担となる。
市の財政再建を信条とし本部長を務める斎藤市長は「市税を投入する以上、財政面も考えてこの数字になった。5000㎡に満たない施設の耐震補修、緊急避難道路沿道の整備もあり、最大限の配慮をした」と市案を示したが、古参の記者からは「最大限じゃなく、最小限の間違いじゃないのか」の声が飛んだ。
改修工事で国が最大3分の1補填するのは、県、市合わせて「11.5%」負担を条件にしており、かつ県は市以上は出さない。つまり、11・5%の半分にあたる「5.75%の市の負担」は、国と県から最大額を引き出すための「最低の数値」とも言えるからだ。
熱海市は典型的な観光都市。市の骨格をなす機関産業の窮地に、もう一歩踏み込めない市の姿勢にこんな声も。「市長、老朽化した施設ばかりを購入する低料金の宿が、耐震改修に1億5660万円出すと思いますか。撤退されますよ。そうなれば入湯税も減少する、もっと真剣に考えるべきでは」-。
このやり取りを聞いて、冒頭の「突拍子もない情報」が脳裏をよぎったのだ。
前日の電話の相手は、全国紙の東京本社社会部デスクで、まもなく(10日夕)再競売に掛けられていた朝鮮総連本部の再入札(売却基準価格約26億6800万円、10月17日に開札)が締め切られるが、有力視されているのが某右翼関係者と熱海など伊豆に多くのホテルを所有するホテルチェーンの子会社だそうで、「熱海にそれと思わせるような動きはないか」と。
その時は「いやぜんぜん」と言葉を濁したが、この日の耐震会議を聴いていて、「ひょっとしたら」に代わった。いや、そんなことはないと思うが…。
(松本 洋二)
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