市民ホール建設費30億円は初期費用 総額100億円、杉山利勝氏が指摘

熱海市議会2月定例会の一般質問が3月9日から始まり、最初に登壇した杉山利勝氏(熱海成風会)は「(仮称)熱海フォーラム」事業を取り上げ、齋藤栄市長に「将来世代の負担になる、現在も利用しているMOA美術館能楽堂など民間施設を活用すべきだと」と計画の再考を求めた。
反対の理由は、市の説明が氷山の一角である市民ホールが稼働するまでのイニシャリルコスト(初期建築費)だけを示し、「建物の生涯」を通じてかかるライフサイクルコストに触れていないことにある。
計画では、市役所に隣接する熱海岡本ホテル跡地に整備予定の多目的市民ホール(500席)の建築費は30億円、維持管理費が毎年5000万円。2022年度と2023年度の予算に15億円ずつ計上して建築費を完済するとしている。

杉山氏は「市民ホールを30億円で設計、建築できたとしても、それ以外に使用期間のメンテナンス、管理費、保険料、長期的な利払い、修繕、耐用年数の経過により解体処分するまでに70億円のライフサイクルコストが必要で総額は100億円となる」と指摘し、「イニシャリルコストは国の助成金を活用できても、ランニングコストは市税で全額賄い、将来世代が負担する。40数年前、先人たちが駿豆水道(県水)の供給契約を結び、現在も県企業局に毎年8億円を支払い続け、負の遺産に苦しんでいる。次の世代の人たちを生きにくくしてはいけない。今後さらに人口が減少し、市税収入が減ることを考えれば高齢化福祉、医療、防災、老朽化した道路などの生活インフラ、教育に使うべきだ」と迫った。

市長は「ライフサイクルコストは、今後の基本設計等を経て試算していく」と述べ、「次世代の負担は軽いものではないが、文化芸術活動は心を豊かにし、他者との交流は人を育て、社会を成熟させる。その拠点となる施設が熱海フォーラム。将来世代にも受け入れられると思う」と理解を求めた。

市議会事務局は新型コロナウイルス感染の予防及び拡大防止のため、一般質問の傍聴を自粛するよう要請していたが、「(仮称)熱海フォーラム」への関心は高く、多くの市民がマスク着用で聞き入った。
(熱海ネット新聞・松本洋二)

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