熱海署、母親を土石流で亡くした遺族提出の告訴状受理 盛り土の現旧所有者を捜査へ

25人が死亡し、2人が行方不明になっている熱海市伊豆山の土石流で、熱海署は8月27日、母親(77)を亡くした瀬下雄史さん(53)=千葉県=が提出した土石流起点の盛り土部分の現旧所有者に対する告訴状を受理した。
告訴状によると、2011年まで土地を所有していた神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)の元代表者は、届け出と異なる工法で排水設備などを設けずに盛り土を行った上、崩落の危険防止を怠り瀬下さんの母親を死亡させた業務上過失致死の容疑。現所有者は崩落の危険性や安全対策工事の必要性を認識していたにもかかわらず放置し続けて、瀬下さんの母親を死なせた重過失致死の容疑。
告訴状は提出から10日間という異例の早さで受理されたが、真相解明には盛り土の危険性を認識していたのに必要な措置を怠っていたことの裏付けが鍵となる。県は現在、盛り土の造成から崩壊までの事実関係を検証整理中で、崩壊原因や行政の対応については第三者に検証してもらう予定。完了までには半年程度要する見込みで、県警は県と情報を交換しながら捜査を進めていく。
告訴状の提出者で遺族ら約50人でつくる「熱海市盛り土流出事故被害者の会」会長の瀬下さんは「異例の速さで受理されたことに県警の熱意を感じる。同様の悲劇が繰り返されないよう、やるべきことをしっかりとやっていきたい」と述べた。
一方、メディアの取材に対し、現所有者の代理人弁護士は「捜査に全面協力する」、前所有者の代理人弁護士は「現時点ではコメントすることはない」などと話している。
(熱海ネット新聞)

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ピックアップ記事

  1. 2023-8-23

    熱海海上花火大会に1万2千人、手荷物預かり場に長い列

    熱海海上花火大会の夏季シリーズ第5弾が8月22日夜、熱海湾であり、1万2千人(主催者発表)が…
  2. 2023-8-21

    被災地を照らす大輪の花火 伊豆山港で海上花火大会

    熱海市の伊豆山港で8月20日、伊豆山温泉海上花火大会が開催された。午後8時20分から35分ま…
  3. 2023-8-17

    お盆の夜焦がす網代温泉海上花火大会 去り行く夏惜しむ

    熱海市の網代湾で8月16日午後8時30分から、網代温泉海上花火大会(同温泉観光協会主催)が開…
  4. 2023-8-17

    熱海市で「百八体流灯祭•送り火」長浜海岸に110基のかがり火

    熱海市のお盆の伝統行事「百八体流灯祭」(多賀観光協会主催)が8月16日夜、多賀地区の長浜海岸…
ページ上部へ戻る