熱海市伊豆山地区の土石流の捜査が急展開した。熱海市伊豆山地区で7月3日に起きた大規模な土石流災害で、静岡県警は10月28日、業務上過失致死容疑などで崩落起点付近の盛り土を含む土地の現旧所有者2人の関係先を家宅捜査し、資料などを押収した。
捜査したのは、盛り土を造成した神奈川県小田原市内の不動産管理会社(清算)の事務所や元幹部の自宅、同社関連の造園。現所有者が経営に携わる東京都内や熱海市の会社事務所など計約20カ所。県警は捜査員百数十人を投入した。
7月3日に起きた土石流災害では、26人が死亡し、1人が行方不明となった。県によると、前所有者は2007年以降に造成を始め、計画を上回る量の土砂を搬入。付近の土地は11年に現在の所有者に売却され、防災工事が不十分なまま放置されていた。崩落直前の盛り土の高さは法令基準の3倍超の約50メートル、総量が7万立方メートル超に及んでいたと推定され、この盛り土が被害を甚大化させたとみている。
遺族らによる「被害者の会」がつくられ、母親の陽子さん(当時77歳)を亡くした会長の瀬下雄史さん(53)が8月、届け出と異なる方法で造成された盛り土の崩落が母親の死亡につながったとして、造成業者を業務上過失致死容疑で、現在の土地所有者を重過失致死容疑で熱海署に告訴していた。
県警は今後、押収した資料のほか、静岡県と熱海市が18日に公表した行政文書を分析し、関係者から直接話を聞いた上で、盛り土の実態解明を進める方針。崩落当時は大量の雨が降っており、天候の影響なども考慮すると、立件の可否の判断には時間がかかるという見方もある。
土石流で長女の西澤友紀さん(44)を亡くした小磯洋子さん(71)は日本テレビ「スッキリ」の取材に「娘は5歳の娘を残して犠牲になった。盛り土をした人はもちろん許せないが、それを止められなかった行政も許せない。責任を感じてほしい。長い戦いになっても、最高裁まで頑張りたい」と話した。
(熱海ネット新聞)
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