【文化】県民の日に「熱海湯めまちウォーク」 芸妓文化への理解を深める

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熱海まち歩きガイドの会は4日、「県民の日」に合わせたイベント「熱海湯めまちウォーク」を開催した。市内外から集まった33人の参加者を6つのグループに分かれてもらい、同会メンバーが約1時間半かけてJR熱海駅前の家康の湯を皮切りに軽便鉄道、豆州人力鉄道・駅舎碑、小沢の湯、大湯間欠泉、湯前神社などを巡りながら熱海の歴史や文化、成り立ちを紹介した。
ゴールの熱海芸妓見番歌舞練場では、芸妓衆の「華の舞」を鑑賞した後、西川千鶴子組合長(松千代さん)による「熱海温泉と熱海芸妓の歴史」についての講話があり、参加者たちは芸妓見番が舞いを披露する劇場にとどまらず、芸妓衆が毎日、舞踏、常磐津、端唄、鳴り物、三味線、行儀作法、茶道、華道などを学ぶ”芸妓の学校”であることを知り、熱海の芸妓文化への理解を深めた。
◆熱海まち歩きガイドの会 2009年に「まち歩きガイド養成講座」終了者が組織。毎年、同講座終了者を会員として受け入れている。熱海の歴史や文化、温泉の魅力などを説明しながら市内の名所旧跡を案内。伊藤弖会長、会員35人。
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【西川千鶴子組合長の講話骨子
●熱海芸妓見番にいらっしゃった方はみなさん、玄関が小さいので中に入ると舞台やいくつもの部屋があって驚く。実はここは劇場であるとともに、芸者衆が芸事を学ぶ学校なのです。舞台の下にも3つ部屋があり、華道教室、端唄教室、茶道教室をやっている。ほかの部屋でも行儀教室や鳴り物教室などがあり、毎日、芸者衆がお師匠さんのもとで舞妓、芸妓としての研さんを続けている。舞台では踊りの教室があり、平日の午前10時ごろから午後3時半ごろまでやっています。見学もできます。踊りの修行には、これで終わりというゴールがなく、私もいまだに稽古を続けております。
●熱海の芸者衆の始まりは、明治10年に遊芸師の坂東三代吉(ばんどう・みよきち)という方が、東京から熱海浜町に居住し、昼は三味線の稽古をし、夜お座敷に出たのが最初。やがて地元で弟子をとったのが始まりです。
●芸妓見番がここに立ったのが、昭和29年3月。東京の新橋や京都にも見番がありますが、劇場が別にあり、見番の中にこれだけ大きな劇場があるのは熱海だけ。昭和30年-40年の全盛期には、芸者衆が1000人以上いた。伊東などは、少ない芸者衆の中で見番が3つも4つもあった。しかし、熱海だけは昔から1つ。これが「熱海の見番は日本一」といわれる所以です。
●当時は、芸者衆の名前を付けるのも大変。○千代さん、△竜さん、□丸さんとか、いろいろありましたが、もう付けようがなく、昭和39年に新幹線ができた当時は「ひかり」さん、「こだま」さん、「火星」ちゃんといった面白い名前がいくつもありました。
●母がちょっと体が弱かったので、私が中学生の時、家族で熱海に移住してきました。越してすぐ、近所の人に「熱海で一番きれいなところへ連れて行ってあげる」と案内されたのが、今で思えば救世教の水晶殿。当時は高い建物がなく、宝石を散りばめたような赤い灯、青い灯の夜景が広がり、「これが東洋のモナコだよ」と。なんてきれいな所なんだろうと熱海が大好きになり、お座敷に出るようになりました。
●新幹線が全国に網羅され、熱海の人気は一時下火になりましたが、お客様方が戻ってきた。都心から1時間足らずで来られ、しかも海あり、山あり、温泉ありで料理も素晴らしいと。華の舞の客層も変わってきて、若いカップルとか、大学生のグループも増えてきた。
●旅館さんも変わってきた。若い層とか、ご家族が増え、一方、大きな宴会が少なくなった。水葉亭様が営業をやめてしまい、後楽園様も建て替え工事に入るなど、近年大きな老舗旅館が少なくなり、熱海でやっていた大きな宴会を湯河原や箱根でするケースが増えている。
●これは芸者衆にとっては痛手。大きな宴会だと芸者衆が20-30人、40-50人という場合もある。現在の芸者衆が全盛期の10分の1くらいしかおらず、2、3カ所重なると芸者衆が足りなくなる心配はあるのですが…。
●近年は、華の舞を見て芸妓に憧れて入ってくる人もいる。しかし、思うように続かない。稽古が辛いというのではなく、費用の問題です。お稽古には月謝が必要で、働きながら芸事を学ぶのは大変。そのことがみなさん分からない。それでも若い人が増えているのですが、それ以上に上の人が抜けて行ってしまう(笑い)。
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