【肉眼心眼】芸妓文化の保存に市が本腰 1200人いた熱海芸妓が「86人」

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「日本最大の芸者数」で知られ、昭和40年代には1200人いた熱海芸妓の総数が、86人まで減少していることが分かった。13日の9月定例会の一般質問で田中秀宝議員が明らかにし、市に対応を求めた。同氏によれば、高級旅館の減少などで、熱海芸妓置屋連合組合(見番)に登録している芸妓は年々減り続け、平成2年には576人まで減少。以降も10年351人、19年250人と拍車がかかり、今年は86人。年14人ペースで減り続けており、このままいけば、数年後には芸妓文化そのものが消滅しかねない危機的状況を迎えているという。
背景にあるのが、一人前の芸妓になるまでの稽古費用。熱海芸妓は、舞踊の資格に合格しないと客の前で舞いを披露できない。華の舞の舞台に立つには、舞踏、常磐津、端唄、鳴り物、三味線、行儀作法、茶道、華道などを学ぶ必要がある。これだけで毎月11万円程度かかり、美容院代や着物代、登録代などを加えると、月40万円以上稼がないと維持できないという。大宴会場を有した熱海後楽園ホテルみさき館とホテル水葉亭がひとまず先月末で営業を終了したことで、今年末は芸妓衆のお座敷数がいっそう減ることが懸念され、田中氏は「岐阜県高山市では、三味線、舞踏、唄、鳴り物などの稽古1つにつき5千円ずつ支援し、芸妓の育成に取り組んでいる。これを参考に熱海市でも直截的な支援が急務になっている」と斉藤栄市長に支援を求めた。
市長は「芸妓文化は熱海の必勝コンテンツ。芸妓の減少はたいへん危惧するところであり、産業界の皆さんと相談して早急に対応したい」と話した。
≪解説≫芸妓衆の減少は負の連鎖をもたらす。芸妓衆はお座敷前に美容院で髪を結い、タクシーで旅館ホテルを往復。飲食店などでも客をもてなす。そのけん引役の芸妓衆が減れば、店舗の売り上げも減り、熱海の夜のにぎわいをはじめ、市内経済に与える影響は大きい。
◆他の温泉観光地では 現在箱根湯本芸能組合が160人前後でトップ。県内では伊豆長岡で20数人、伊東で26人、修善寺は不在。清水(静岡市)が約10人。
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熱海芸妓見番での集合写真(平成19年1月13日)

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