【文化】グレー調の黒漆喰で和風モダン MOA美術館が改装記者会見

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大規模改修工事のため今年3月から休館しているMOA美術館は10月25日、同美術館で来年2月5日にリニューアルオープンする記者会見を開いた。今回の改修で大きく変わるのが、2階の展示室。以前は展示ケースが向かい合う形だったが、中央に間仕切りの壁面を設置。表面をグレー調の黒漆喰(しっくい)で仕上げ、対峙(たいじ)式にすることで、懸案だったガラスの映り込みが消滅、作品がさらに際立つようになった。尾形光琳作の「紅白梅図屏風(びょうぶ)」が展示されるケースには、樹齢数百年の行者杉(大分)を使った框(かまち)を設けるなど、作品の美を最大限にいかす工夫を凝らしている。ガラスケースのない床風の展示コーナーも設けている。
また野々村仁清作の国宝「色絵藤花文茶壺(つぼ)」は、新たに専用の展示室をしつらえた。こちらも四方を黒漆喰で囲み、「宇宙のような空間」を創り出した。
メーンのエントランスドアも高さ4・2メートル、幅1・2メートルの扉板2枚の開閉式となり、人間国宝の漆芸家室瀬和美さんが乾漆粉(かんしつこ)の上に黒漆を塗り重ねて鎌倉・室町風に制作した。漆の扉としては日本一の大きさ。
今回の改修では、世界的な現代美術作家・杉本博司氏と建築家・榊田倫之氏が主宰する「新素材研究所」が基本設計とデザイン監修を手がけ、①創設者・岡田茂吉の願いを込めた美術館②伝統と現代を融合したデザイン③素材の見立てによる空間の創造--をコンセプトに設計した。
◇内田篤呉館長 黒漆喰の壁、これはこれまでになかった新しい空間。展示ケースも屋久杉や行田杉を使い、和風モダンの感じに仕上がった。美術館の創立者・岡田茂吉の願いを継承し、伝統と現代を融合した改修をすることができた。
★リニューアル展覧会
2017年2月5日~3月14日=「リニューアル記念名品展+杉本博司「海景-ATAMI」
2017年3月14日~4月25日=「奇想の絵師 岩佐又兵衛 山中常盤物語絵巻 義経伝説全12巻一挙公開」
◆MOA美術館 世界救世教創設者の岡田茂吉(1882~1955年)のコレクションを保存、展示。「色絵藤花文茶壺(つぼ)」や尾形光琳「紅白梅図屛風(びょうぶ)」など国宝3点、重要文化財66点、重要美術を含む約3500点。開館は1982年。熱海市桃山町26-2。

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リニューアル後
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リニューアル前
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新しい紅白梅図屏風ケース
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新しい「色絵藤花文茶壺」の展示室
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新しいエントランスドア
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