バス路線のない和田木、中野、桃山の3地区で市が実施している高齢者等外出支援バス運行事業について、熱海市は1月31日から増便するなど内容を変更して加速した。和田木地区は毎週木曜から火曜に運行日を換え、1便増やして2便(網代駅発午前9時25分、同12時25分)。中野地区は金曜のまま1便増やして2便(多賀小前発午前9時25分、同11時20分)に変更。桃山地区は従来通り、毎週金曜に1便(熱海中学校前発午前9時30分)運行する。
事前の広報や地元町内会への説明がなかったこともあり、乗客は増えていない。増えていないどころか、2月7日の和田木地区からの第1便の乗客は1人。見直し初日の1月31日も2便で利用者はわずかに1人。マイクロバス3台で2人しか運んでいない。
この事業を巡っては、昨年9月議会で厳しい声が飛んだ。3地区の該当者(65歳以上市民)は約3000人。しかし、利用登録者(事前申し込みで月500円または年5000円)は同8月16日時点で3路線で計22人。乗車状況は、約20人乗りのマイクロバスに対して1台当たりの利用者は1・1人〜4・6人。収入5万8500円に対し、支出が114万7243円。費用対効果の面から議会から見直しを迫られた経緯がある。
これを受け、市は利用者の要望と交通事業者との検討会をもとに見直しを図った。それが今回の増便と、曜日の変更。登録者は、事前予約なしで利用できるようにもなった。また和田木地区と中野地区はマックスバリュ多賀店前、桃山地区は伊豆箱根バス車庫前に途中下車ポイントを設けた。
市が高齢者の外出支援に真剣に取り組んでいることは見直し内容からも分かるが、理解に苦しむは登録者数だ。1月27日現在で12人(和田木2人、中野6人、桃山4人)。これで果たして増便する必要があったのか。1週当たりの「おでかけバス」の業務委託費はおよそ32万円かかり、全員が利用したとして1人当たり、2万2000円。相乗りタクシーを利用すれば、市税の出費は抑えられる。見直しに際して、縮小ではなく、拡大した意図が良くわからない。来年度以降の継続は事実上難しく、これでは年度末の予算消化のそしりを免れない。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
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