熱海市が2月14日発表した平成29年度当初予算案に「熱海型別荘コンシェルジュ」の設置が盛り込まれた。斉藤栄市長が掲げる日本でナンバー1の温泉観光地づくりの目玉となる施策で、別荘等所有税を納める市内約9千400軒あるリゾートマンション及び別荘所有者へのサービスが目的。専属の職員1人を「別荘コンシェルジュ」として配置、予算額は500万円。「ADさん、いらっしゃい!」に続く看板職員輩出の期待がかかる。
東京駅から最短35分で行き来できる熱海市。普段は首都圏などに居住しつつ、週末や休日などに熱海市に所有するマンションや別荘を訪れる別荘等所有者(二地域居住者)の来訪を促進することで、満足度を向上させ、まちの賑わいを創出するのが狙いという。具体的には、別荘所有者のみが閲覧できる専用ホームページを開設して①「マンション・別荘族」のニーズに合った情報提供②専用の電話回線を設け、イベント情報や飲食店情報を提供③相談や苦情をワンストップ(複数の部署またがる問題をまとめ処理)で対応する―というもの。
これまで熱海都民と呼ばれる「マンション・別荘族」へのサービスといえば、起雲閣、熱海梅園など市が関係する施設を市民料金で利用できる程度だった。選挙権を有さないだけに、市政からも議会からもないがしろにされていた感は否めない。それを思えば、大きな改革への一歩だが、もっとも需要が見込まれる土日・祝日は、市職員を配置するため不在という。
ついでにいえば、観光を基幹産業とする熱海市だが、土日・祝日は担当職員がみな不在。市に電話を入れても、警備室の臨時職員が出て「本日はお休みですので、わかりません」。戸惑う観光客は多い。現在開催中の「梅まつり」にしても、土日祝日は原則職員不在で「熱海まち歩きガイドの会」の人たちが、観光客の相談役や病人等のケアを務めている。全国の自治体で別荘税を徴収しているのは熱海市だけ。遅まきながらその人たちへの感謝を込めて日本初となる「別荘コンシェルジュ」を作るのだろうが、肝心の時に不在では、仏壇を作って魂入れず、になってしまう。多くが”週末熱海市民”だけに、是正を求める声が予想される。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
◆別荘等所有税(別荘税) 全国の自治体で熱海市が唯一を課している税。リゾートマンションや別荘1㎡につき年額650円が課税され、平成27年度の税額は年5億4416万円。市税総額の5.6%。人口減少に伴い市税総額が減少する中、市の財政に大きく貢献。
◆二地域居住者 熱海市の今年1月末の人口は3万7663人で世帯数は世帯数は2万1327軒。他に「別荘・マンション族」が約9千400軒。繁忙期には8000人のホテル旅館の宿泊客がおり、実質的に5万人規模の”人口”。
コメント
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私はレアーユ熱海に別荘として11年くらい過ごしています。その前は自然郷にも居ました。かれこれ20年の別荘族です。別荘コンシェルジュについてはあまりよく解りませんが、何か期待するものを感じます。熱海市の人口が減少傾向にあるのを心配しております。
観光客はすごく増えてよかったのですが、同じ別荘族の望みはなんといっても駅周辺にスーパー アオキのような生活用品、特に肉、魚、豊富な野菜、果物が十分に買えるスーパーが無いことが共通の悩みで、住みたいと思わない大きな要因になっています。駅ビルラスカは大変結構な存在ですが、観光客中心のみの商店中心では脱皮することは難しいでしょう。坂道が急で多く、マックスバリューのみでは不足です。年齢層も高く近くにスーパーがあれば、別荘のみならず、住もうと思う人はたくさんいるはずです。かつては4万人を遙かに越えていた人口も今や4万7千人台に減っていますね。もう一度、熱海市民を増やす戦略に見直していただきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。三井 健