【要望】津波対策・クルーズ船誘致へ予算確保 川勝知事に「要望書」提出







熱海市と熱海自主防災会連合会は8月30日、静岡県庁の県交通基盤部を訪ね、藤曲敬宏県議、齊藤栄市長と共に、川勝平太知事宛てに海岸津波対策を含めた渚地区の第4工区の早期完成や大型クルーズ船誘致などの要望書を提出した。要望では、2018年度の津波対策推進予算について、今年度の7000万円を増額することを求めた。
齊藤栄市長は「観光と防災を両立させることが観光地・熱海の責務」と訴え、防災対策としての親水公園第4工区(1~3区は完成)および多賀地区南工区の早期完成、海外からのクルーズ船誘致、海岸津波対策を要望した。
これに対し、鈴木克英県交通基盤部長は「熱海港の防災対策は仕立てを変え、なるべく早く整備できるよう努める。クルーズ船は船の都合で入港時間に不確定要素があり、それに合わせて地域の方々がもてなさざるを得ない。その点、観光地の熱海は清水より優位性がある。そこを売りに誘致につなげたい」と話し、津波対策には「レベル1にこだわらず、景観も重視しながら知恵を出し合って、地域の意見をまとめたことを評価する。しっかり、早く工事を進めていきたい」と述べた。

「40センチかさ上げより、逃げる優先」熱海モデル

熱海市では、市内の6地区に津波対策地区協議会を設立。2015年2月から各地区ごとに協議を開始。今年8月までに5地区(網代地区を除く)において基本方針を固め、県の静岡モデル推進検討会に、防潮堤のかさ上げより、”逃げる”を基本とするソフト面を手厚くして被害を抑える「熱海モデル」を報告した。
熱海自主防災会連合会・中田剛充会長は「住民は熱海湾、多賀湾、網代湾と分かれており、海岸部と山の手の人では考えが違う。その中で7メートルの防潮堤について各4回話し合い、意見の集約ができた。行政と住民が協同で結実させたもので、今回の要望書を真摯に受け止めてほしい」。渚地区を代表して吉田耕之助氏が「現在6・6メートルの防潮堤を7メートルにかさ上げしても、それで津波が必ず収まるとは限らない。それなら我々は逃げる道を優先させる。第4工区を先に整備したり、河口部に水門を作ってもらったりしたほうが、観光客にもいい」。多賀自主防災会の山田光孝会長は「近年、長浜海岸をウオーキングしたり、ランニングしたりする人が増えているが、遊歩道は幅1メートルちょっと。防潮堤を造る際は拡張してほしい。そうすれば車いすも通れる」と強く訴えた。

津波対策、県内50地区で熱海が一番早く合意
今回の要望を県につないだ藤曲県議は「地域の特性を踏まえ、もっとも相応し津波対策を施すのが静岡方式。県内に50ある津波対策地区協議会で熱海市が一番早く合意ができた。良き前例にするためにも、来年度の予算を少しでも増やし、早期実施につなげたい」と期待を込めた。
(熱海ネット新聞・松本洋二)


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