名門復活へ再出発-。熱海市の経済衰退や人数不足などで活動を休止していたヨットの「熱海ジュニア海洋クラブ(AJOC)」(高梨成太郎代表・監督)がおよそ20年ぶり復活した。4月30日、上多賀の戸又港にある県立熱海高校ヨット部艇庫前でシャンパンをかけ、新艇5隻の進水式を行った。
■発足は1965年、小松製作所のグループや旅館経営者が尽力
AJOCは熱海市の大規模別荘地「自然郷」を開発した小松製作所のグループや染井旅館の当時の経営者、熱海高校ヨット部OB、熱海JCなどが組織した小中学生を対象にした少年ヨットクラブで1965年に発足。ここから育った子供たちが熱海高校ヨット部などに進み、同高および進学先の大学で全国大会、五輪チームなどで活躍した。しかし、およそ20年前のバブル崩壊で伊東ジュニアヨットクラブに吸収統合され、現在は休止状態にあった。
名門復活を目指し、熱海高校のヨット部監督の高梨さんが、OBの協力を得て昨年4月から小中学生5人を集め、毎週日曜にヨット教室を開いていた。しかし、中古艇しかなく、資金的にも脆弱。思うように活動ができなかった。この話を熱海ヨット協会の山田茂次会長から聞いて”助け舟”を申し出たのが、熱海市に別荘を所有し、熱海市内に大型ヨットを係留している桐井製作所(東京都千代田区)社長の桐井隆さん(48)。世界の少年少女の競技大会で使用している「OP級」の新艇5艇を寄贈した。総額は約400万円。
■20年の休部を経て、桐井製作所が助け舟
「熱海は父の代から私、孫と3世代にわたってお世話になっている。以前から、何か、熱海のために手伝えないかと考えていたところ、この話を聞いた。酔った勢いもあって、分かったやろうと。新艇をフルに活用して、子供たちの健全育成につなげてほしい」と桐井さんは進水式であいさつした。
高梨監督は「ジュニアヨットの各クラブは、父兄などからの寄付金で苦労して新艇を作るのが現状で、スポンサーが付き、しかも一気に新艇5艇というのは聞いたことがない。これで全国大会で上位を狙える体制が整った。ここから熱海高校ヨット部に進み、小、中、高一貫で強化すれば、インタハイ、国体の制覇も夢ではない」と期待を寄せた。
■熱海高校ヨット部と連携して小中一体で強化
これまで熱海高校のヨット部入部者は、中学生まで他競技の出身者ばかり。ヨットを始めて1年半でインタハイ目指し大会出場の速成プログラム。しかし、今後はAJOCの復活でインタハイ出場常連校から、優勝を狙える存在にバージョンアップが可能となった。熱海の堅調な経済活況がジュニアヨットからも見て取れる。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
■熱海ジュニア海洋クラブ
峯田龍(多賀中1年)
田辺雅弥(多賀中1年)
浦本湊(多賀中1年)
峯田龍桜(多賀小5年)
高梨匠海(韮山小2年)
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