長く熱海駅前商店街の一人勝ち状態が続いていた熱海市だが、若年層の観光客が熱海銀座に戻り、人気の勢力地図を少しずつ塗り替えている。9月23日に熱海銀座通りであった第31回「海辺のあたみマルシェ」をのぞいて見てあらためて異変に気付いた。どこもかしこも若いカップルや家族連れで賑わっていたからだ。
歩行者天国になった通りには、熱海市周辺を拠点に創作活動する作家の作品や雑貨小物、アクセサリー、地域の農家が生産した野菜やパン類など39のブースが出店。今回は浴衣でまち歩きをやっている「こんじきや」が浴衣レンタル&着付け3000円で加わり、人だかりができていた。
販売する人も客もほとんどが20代〜30代。都内の渋谷や原宿を思わせる若やいだ雰囲気。先般、熱海市は今年度の観光庁長官表彰が決まった。受賞理由は「若年層の新規顧客を獲得することに成功し、日本人観光客が毎年10万人程度増加している」だが、この光景がそれを物語っていた。
なぜ熱海は急に若年層の観光客が増えたのか。同マルシェの創設メンバーでまちづくり会社「machimori」代表取締役の市来広一郎さんに聞いてみた。
「海辺のあたみマルシェに訪れた人が、実際にお店を開いたり、起業した人もでてきた。それをみて今度は自分たちも空き物件を活用してみようとか、将来熱海に住んでみたいと考える人たちが訪れている。正のスパイラルが生まれているのでしょう」と明解な答え。
海辺のあたみマルシェがスタートしたのは2013年11月。当時の熱海市の 空き店舗率は23%。市のメーンストリート「熱海銀座通り」も30店舗中10店舗が空き店舗だった。そこから同マルシェを起点にした熱海銀座の賑わいを取り戻すまちづくりがスタート。2015年に宿泊施設「ゲストハウMARUYA(まるや)」、2016年にはコワーキングスペース(共有事務所スペース)naedoko(なえどこ)」ができ、様々な飲食店が。今年7月には人気のプリン専門店・熱海プリンの2号店「熱海プリンカフェ2nd」がオープンし、新たな熱海銀座の旗艦店となった。同店が8店舗目でこれで空き店舗は2つだけに。
同マルシェ実行委員会の戸井田雄事務局長は「5年かけて取り組んで来たあたみマルシェと市のA-biz、ATAMI2030会議が相乗効果を生んでいる。その結果が若年層観光客の増加につながっているのではないか」と分析する。
古くからある老舗商店もマルシェを訪れた人たちの小物アクセサリーの修理やベルトの穴あけなどをワンコインでサービスするなどして若者たちの取り込みに協力している。いずれも熱海に興味をもってもらい、将来住んでもらうのがねらいだ。熱海の未来に光明がー。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
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