【編集室】新人女性候補、会心の「逆ポールポジション」

熱海市議選が19日告示され、15の定数に対し、16人が立候補した。その届け出順番を決める受付が午前8時30分から市役所で行われたのだが、いきなりハプニングが起きた。
各陣営とも30分前には席に座り、抽選に備えていた。ところが定刻になっても1陣営だけ現れない。選管職員は時計を見ながら到着を待った。タイムアウト。15陣営が抽選で届け出順番を決めることになり、姿を見せない1陣営は自動的に16番に決まった。
会場がざわつく中、5分遅刻して新人・泉明寺みずほ陣営の事務責任者が到着した。会場から「これだから素人は…」の失笑が漏れた。

百戦錬磨のライバルたちが「してやられた」と唇をかんだのは、1時間後のことだ。各陣営は次々と抽選で決まった届け出番号の位置にポスターを貼ったのだが、あろうことか、一番目立っていたのが「16番」。ポスター掲示板はタテ3列の配置。よって先着15陣営は「タテ3、ヨコ5」のスペースに押し込められた。16番だけが右上に1人だけはみ出した特別席。しかも女性候補だけに一際目立つ。集団に埋没されたくない、という陣営のしたたかな計算だった。

前夜、女性候補者の後援会事務所の照明は遅くまで消えなかった。「熱海市政に女性議員は絶対に必要」と考える支援者たちが知恵を絞りあった。政党の支援を受けない自分たちは、どうすれば候補者をアピールできるのか。そこでひねり出したのが、逆ポールポジション作戦ー。
気をてらうだけが目的ではない。ポスター一つにしても、彼女たちは主婦目線でとらえている。

市内のポスター設置場所は153カ所。この枚数の費用は熱海市が負担するが、破損などで張り替えることも想定し、200枚製作した。一般のチラシとは違い、選挙用ポスターは防水や耐久、裏面テープなどが施され、1枚にかかる費用はおよそ2500円。法定得票数を獲得できなければ、市が負担する分も自己負担となり、これだけで50万円の支出を余儀なくされる。

ポスター貼りは8カ所のブロックに分け、候補者も参加して運動員が行ったが、初出馬の素人集団。設置場所が見つからず、積み残しもあった。それだけお金も手間もかかる選挙ポスターだけに「貼る位置」にもこだわったのだ。

ところで、この日の届け出抽選会で異彩を放ったのが、前回の市議選でトップ当選した川口健氏の陣営だ。抽選は2回に分けて行われ、最初の抽選順番を決めるクジではドン尻の15番。しかし、本番では各陣営がポールポジションとなる1番クジを外し続け、一番最後の川口氏陣営が手にした。「やはり、あそこはもっている」の声が聞かれた。

たかが届け出順番を決める抽選会。されどここでも丁々発止が繰り広げられている。
(編集主幹・松本洋二)

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