
昨年10月に熱海市観光協会連合会と産学連携協定を締結した早稲田大学総合研究機構は3日、南熱海マリンホールで「熱海網代地区の地域活性化に向けた提言」を行った。同機構の藤井浩司政治経済学術院教授、森田金清同講師、大学院生が市内網代地区で地元事業者、住民などからヒアリング調査した内容を授業で掘り下げ、6つの提言にまとめた。
早稲田大学ラグビー部のスター選手で日本代表でも活躍した今泉清氏の「プラス思考が未来を創る」講演もあり、中島幹雄連合会会長、川口健網代温泉観光協会会長、目黒俊男熱海温泉ホテル旅館協同組合連合会会長、市幹部、観光関係者など約100人が熱心に聴き入った。
【網代の地域活性化への提言】
<1>「あじろひもの横町」の提言
・「誇り高き網代を取り戻す」…干物と港風情で
・場所は網代のシンボル「平井家」周辺
<2>イカメンチを使った網代活性化策
・いろんな店でいろんな味のイカメンチをアピール
・東京・戸越銀座商店街のようなイカメンチの食べ歩き
<3>網代中学校(廃校)を泊まれる学校(1日1団体貸切)に
・小学生…干物作り体験、後日学校へ送る
・大学生…部活合宿(南熱海マリンホール&小山臨海公園と連携)
<4>空き家を活用した地域コミュニティスペース
・地域住民と観光客の交流の場、網代ファンを増やす
・観光客は情報入手、インターネットも使えて便利
<5>網代の認知度がアップするための情報発信
・ケーブルテレビで日本、世界へ網代の魅力発信
・地元住民の手で1チャンネル「まるごと網代」
<6>網代への外国観光客誘致
・中長期滞在ツーリストを狙え、買い物と旅行だけでは不満足
・干物と釣りでアピール、インターネットで日本の伝統文化発信
同機構の総合政策科学研究所は、広く公共の問題に取り組み、解決に導く専門家を育成しており、卒業後は国・地方のキャリア公務員、政治家、外交官、国際機関職員、民間シンクタンクなどへ進む。「熱海市の観光活性化」をテーマにしたフィールドスタディー(現地実習)は2012年から実施しているが、昨年9月からは熱海のエリアごとの分析にバージョンアップ。第一弾として南熱海の網代に絞って研究し、提言した。
◆藤井浩司教授 私どもの卒業生の東国原英夫氏が「どげんかせんといかん」と言って知事になったが、地域再生で一番大事なのが、「何とかしないといけない」という住んでいる方々の強い思い。次にアイデア。そして熟議していい方向にもっていくリーダーシップ。安倍政権の1丁目1番地といわれる地方創生は大変難しいが、網代にはこの3つの要素が備わっている。
◆森田金清講師(前熱海市観光協会会長) 早稲田大学としては、2020年東京五輪に向けたインバウンド、観光まちづくりに取り組む熱海市を観察、分析することで地域創生、地域経営の研究に役立てている。9月から4カ月にわたり、計15回の授業を通して南熱海を研究し、11月と12月にはそれぞれ2泊3日の日程で学生たちが南熱海に宿泊し、地元で商売をされている方々、地域にお住まいの方々に話を聞かせていただいた。
◆川口健網代温泉観光協会会長 どの提言も有意義で参考になった。網代駅前の地域情報のコミュニティスペースは空き家対策、地元の人の憩いの場にもなる。1つでも多く実現できるように努めたい。
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