
2017年5月に91歳で亡くなった直木賞作家で熱海市名誉市民の杉本苑子さんが市に遺贈(遺言による寄付)する金額が2億3494万円あることが分かった。預金が約1億3000万円で、残りは所有していた貴金属や有価証券を現金化したもので、今月中に市に納められるという。自宅建物や土地などは含まれていない。3月6日付の読売新聞が報じた。
生涯独身を貫いた杉本さんは、1977年に熱海市に別荘を構え、80年から熱海市民に。95年に文学館の設立を願い、著作権、住居などの全資産を熱海市に遺贈する契約を締結していた。市は杉本さんの遺志に沿って、市内西熱海町の杉本さんの自宅を改修して建設する「熱海文学館」の費用に充てる。同日、齋藤栄市長は熱海ネット新聞の取材に「有識者や専門家などで設立準備委員会を立ち上げ、運営方法も含めてどのような文学館にするかを決める」と話し、新年度予算に370万円を計上し、2年程度で基本構想をまとめ、数年後の開設を目指すという。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
■杉本苑子(すぎもと・そのこ)1925年、東京生まれ。文化学院卒。歴史小説家。1951年に「申楽(さるがく)新記」が「サンデー毎日」の懸賞に入選したのを機に吉川英治氏に師事して文学修業。63年、江戸時代の薩摩藩士による宝暦治水を描いた「孤愁の岸」で第48回直木賞。NHK大河ドラマ「春の波涛」は「マダム貞奴」「宴府回廊」が原作。87年に紫綬褒章。2002年に文化勲章と菊池寛賞。澤田政廣についで2人目の熱海市名誉市民。
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