例年3月の熱海市は送迎会でにぎわう繁忙期だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため会合を自粛する動きが広まり、宴会などの予約キャンセルが続出。市内の飲食店や芸妓衆、コンパニオンに大きな影響が出ている。
市内の飲料3団体と熱海芸妓置屋連合組合、コンパニオン協会は3月6日、合同で市役所に齋藤栄市長を訪ね、売り上げ減少に伴い、苦境に陥っている飲食店や芸妓、コンパニオンの現状を訴え、救済措置を要望した。
冒頭、飲料連合会の鈴木恵次会長が「新型コロナウイルスの感染拡大でホテル旅館の予約が軒並みキャンセルとなり、それに伴って飲食業、芸妓、コンパニオンも大打撃を受けている。スタートで前年の3分の1だった予約が、首相の“不要不急の外出を控えてほしい”発言以来、3月に入りキャンセルが続出。熱海の夜の街から人の姿が消え、1カ月で予約ゼロという店も出ている。このままでは立ち行かない人たちや会社が出てくる」と負の連鎖が勢いを増す現状を報告。
とりわけ、熱海の観光を下支えする芸妓、コンパニオン、スナックなどの従事者は、母子家庭が多いことから、早急な救済措置を求めた。
政府は、震災等で売り上げが急激に減った全国の企業を対象に、「セーフティネット保証」と呼ばれる各地の信用保証協会が借入金を100%保証して、銀行などの金融機関から融資を受ける制度を設け、実施している。
二階俊博自民党幹事長の尽力で、2015年から芸妓見番、芸妓置屋、バンケット(コンパニオン派遣会社)も対象産業に加わり、融資を受けることが可能となったが、現実的には信用保証協会がこれらの産業に対して保証を決め、融資につながったケースはほとんど無い。
熱海芸妓置屋連合組合の西川千鶴子組合長は「華の舞が中止になっても、芸妓衆は稽古を休むことも、個人事業主のため公的な融資を受けることもできない。そこを考慮していただきたい」と訴えた。
同席した田中秀宝市議は「飲食店は客が減っても融資を受けられるが、芸妓、コンパニオン業界はいきつくところがない。せっかく制度があるのだから、信用保証協会の保証を受けられるように検討してほしい」。橋本一実市議も「市内のコンパニオン協会は7社あり、210人ほどが働いている。しかし、派遣依頼がなく、辞めたいという人が続出している。苦労して集めたコンパニオンが戻るとは限らない。早急な対策が必要だ」と市長に支援を求めた。
これに対し、市長は「新型コロナウイルスの感染拡大は、災害というより国難。皆様の切実な声を国、県へ届けるとともに、市として何ができるか、研究させていただく」と応じた。
熱海市では、今回の熱海ならではの危機に対し、信用保証協会に2億円〜3億円を供託するなどして、職種で融資を受けるのが難しい会社の保証協会の保証を取り付けたり、利子を一部負担するなどの緊急対応策を模索している。
2011年3月の東日本大震災では「団体客の割引きサービス」を実施し、回復につなげたが、今回は新型肺炎の感染拡大防止のため、誘客キャンペーンもできない。その意味では今回の方が悩ましい。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
■飲食3団体 熱海料飲連合会、静岡県社交業飲食業生活衛生同業組合熱海支部、同飲食業生活衛生同業組合熱海支部
ホテル旅館のキャンセル7万人…https://atamii.jp/today/125041/
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。