熱海市議会は3月17日、2月定例会最終本会議を開き、2020年度一般会計予算や3企業会計予算、2019年度一般会計補整案など28案件を賛成多数などで原案通り可決、承認して閉会した。予算は成立したが、議会からは「説明不足」の市当局への苦言がー。
186億3100万円の一般会計予算案では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、市内経済が混乱する中、海外姉妹都市カスカイス市(ポルトガル)訪問に519万円を計上していることに稲村千尋氏(熱海成風会)と村山憲三氏(熱海市政調査会)が反対。「市民の国際交流と異文化へ接する機会の創出」とする市当局の説明に稲村氏は「招待状が来たわけでもなく、誰が行くかも分からない。渡航の理由と内容があいまいだ」と、最大会派の不満を代弁する形で反対し、齋藤市政の運営に一石を投じた。当局が「計上している予算と今後の経済対策は別に考えている」と繰り返すなど、議会側に丁寧な説明を欠いたことが背景にある。
米山秀夫市議
厚労省の再編推進策に沿って離島の初島簡易水道事業を新年度から市の水道事業に統合する水道事業会計予算案と条例改正案では、田中秀宝、米山秀夫、泉明寺みずほ、後藤雄一の4氏(自民党・公明党・女性の会 熱海梁山泊)が反対。米山氏は反対討論で「議案には、地方公営企業法の規定を適用する条文がなく、統合の開始日も明記されていない。これでは水道事業の料金表に基づく収入ができない問題が生じ、予算は法的に成立しないことになる」と指摘。「条例の制定改廃は、権力行使にもつながる重要な事案。たった2行、現在の条例案に加えることでこの問題は解決する。一度提出した議案は修正しないというその姿勢が許せない」と傲慢な当局の姿勢に迫った。
さらに昨年から地方公営企業法の適用問題の柱であるこの条例が、後追いで今定例会に上程されたことにとどまらず、その内容が国の法令に合致していないことに抗議。「国から来られた事務方トップの地位にある副市長の責任問題としてとらえることができる」と言及した。
新年度の予算は成立したものの、熱海市議会(定数15)は最大会派の熱海成風会(自民、7人)と第2会派の自民党・公明党・女性の会 熱海梁山泊4人)が反対すれば、承認が得られないのが実情。今後も説明不足が続けば、さらなる紛糾が危惧される。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
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