

静岡県は10月26日、新型コロナの影響で広まりつつあるテレワークをしながら休暇を楽しむワーケーションの誘致に取り組む熱海市の7施設を視察した。藤曲敬宏県議(県議会産業委員会委員長)が企画し、県職員8人と市職員が訪問した。
このうち、熱海マリンサービス(光村智弘社長)の新規事業会社未来創造部(枝広淳子社長)が今年11月に市内渚町に開業するアタミスクエアは、15年ほど前に閉館したサンクリノ美術館(アタミスクエアビル)をリニューアルしてコワーキングスペース(共有事務所スペース)として活用する。独自のサテライトオフィスを有さない首都圏の中小企業などをターゲットにし、海まで徒歩1分の景観の良さを生かし、仕事の効率を高めてもらうのが狙い。渚地区のにぎわい創出にも期待が高まっている。

2階に共有ワーキングスペース、3階にサポートルーム、1階にカフェバー「マリンスクエア」を設け、地元の人たちと交流するとともにワーケーションやシェアオフィスの相談に応じる。会議のネット中継の環境も整えている。
藤曲県議は「コロナで生活様式が変わり、熱海の空き店舗などを活用したコワーキングスペースが注目されている。利用者に熱海のメリットをどのように伝えるか、行政側が協力ポイントを検討する上で参考にしたい」と述べた。
枝広社長は「ワーケーション事業は競争を増しているが、熱海は価格競争には入りたくない。立地の良さや既存する体験型プログラムをさらに進めて地域との交流を図ることで差別化を図りたい」話した。
この日、訪れたのは、アタミスクエアの他に、コワーキングスペース事業を展開するnaedoco(銀座町)、魚熊ビル(田原本町)、移住サポートに取り組む旅館瑞宝荘(咲見町)、研修施設を備えたホテルISHINOYA熱海(熱海)、使用していない別荘をテレワーク用に活用する自然郷別荘地エンゼルフォレスト(上多賀)、移住定住促進に取り組むNPO法人ライフネット(清水町)。
県東京事務所の戸塚渉主事は「テレワークやサテライトオフィスの伊豆地域の需要は新幹線の駅がある熱海、三島に集中している。ホテル旅館は閑散期があり、企業研修の場に期待できる」と話す一方で「三島駅は朝にひかりが停車し、品川駅まで32分。何かあってもすぐに会社に戻れ、修善寺方面でも人気がある」と述べ、ひかりの停車本数が少ない熱海の課題も指摘した。
視察終了後、一行は熱海市役所に金井慎一郎副市長を訪ね、ワーケーション施策について意見交換した。
(熱海ネット新聞)


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