花火大会とコラボ、熱海のライブハウス「Jazz Club A」に賑わい戻る

官民を挙げ、総力戦で新型コロナウイルスの感染防止に取り組む熱海市では、感染症の収束が進み、ライブハウスがにぎわいを取り戻しつつある。ジャズの名店で知られる市内銀座町の「Jazz Club A」では、3密(密閉、密集、密接)を回避するなど感染予防対策を徹底し、毎週金曜と土曜夜にジャズライブを開催、人気を博している。
熱海海上花火大会があった6月5日夜、同店を訪れるとシニア層を中心に市内外のジャズファンが座席を埋め、常連客ら15人が臨場感あふれるライブに酔いしれていた。


スポットライトが照らすステージで、河原秀夫さんのウッドベースが軽快なリズムを刻み、金井塚秀洋さんのドラムのシンバルが響く。西村明子さんのピアノが重なり、ゆったりとした時間が流れる。この日のライブは花火の打ち上げ時間を挟んで行い、ジャズのスタンダード曲「You Don’t Know What Love Is (あなたは恋を知らない)」、ジャズにアレンジしたボサ・ノバの名曲「Corcovado」、ソウルの名曲「Sunny」などをトリオで演奏。花火見物中は席を取り置き、「ジャズと花火のコラボ」と銘打って企画した。

西村さんは、同店のオーナーでピアニスト。4歳からピアノを始め、13歳の時にロンドン市主催の「ロンドン・ミュージック・フェスティバル」でジュニア部門金賞受賞。立教大学卒業後、ヤマハに入社し、アレンジャーとして活躍。その後渡米し、ロサンゼルスの「グローブ・スクール・オブ・ミュージック」でアレンジ&コンポージング・プログラム」を修了。ジャズピアノは女流ピアニストのジョイス・コリンズ氏に師事した。
現在は、首都圏でジャズライブ活動をしながら、都内出身の両親が終のすみかで移住した熱海に拠点を移し、10年前から「Jazz Club A」を経営している。
しかし、コロナ感染が続く東京や横浜では、緊急事態宣言やまん延防止等重点が延長され、ライブハウスも時短による夜ライブやアルコール類の提供を見合わせている。

同店も休業要請が出た昨年4、5月は臨時休業したが、以降は透明なロールスクリーンや仕切り板を設けて客席の間隔を空け、マスク着用や消毒用液の使用、換気の徹底で感染リスク低減するなど、できるコロナ対策はすべてやって週末限定でライブを開催している。
「入店数を自主規制をしていることもあって、客の入りはコロナ以前の半分程度。経営的にはまだ厳しいが、演奏者にとって、ライブができる場は欠かせない。熱海の方々にもっともっとジャズの楽しさを味わってもらいたいので、対策をしっかりしながら素晴らしいミュージシャンを招き、誰もが安心できる店にしていきたい」と西村さん。
神奈川県在住の河原さんと金井塚さんはともに「東京や横浜は時短で夜のジャズライブはできない状況。客を前に緊張感のある中で演奏できるのは大変ありがたい」と話した。


この夜のライブでは、今月19日(土曜)にステージを務める長野味加さんがゲストで登場。ジャズの定番曲「エンジェルアイズ」を1曲披露した。彼女は熱海市生まれ、在住の気鋭のボーカリストで、西村さんの薫陶を受けたミュージシャン。西村さんがタネを撒いた熱海のジャズ文化は着実に若い世代に受け継がれている。
(熱海ネット新聞・松本洋二)

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コメント

    • 諸橋健一
    • 2021年 6月 07日

    熱海

    • 諸橋健一
    • 2021年 6月 07日

    熱海伊豆山在住10年、Jazz Club A に出会いました、以来お店が開いている限り通い詰めています。ジャズライブ最高!

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