熱海市伊豆山の土石流災害で、市は4月26日、被害を拡大したとされる盛り土の造成時などに行政手続きに関わった市職員への聞き取り調査の結果を公表した。聞き取りは、昨年12月から4月上旬までに元職員を含む17人に実施。今月20日に県の第三者委と市議会調査特別委員会(百条委員会)に提出した。
会見で齋藤栄市長は「職員は条例の制約の中で最大限努力したが、市だけではなく、県も対応すべき事案だった」と話し、市職員から県が積極的に関与しなかったという意見が複数あったことを明らかにした。
県条例では、1ヘクタール未満の開発面積の場合は、市が行政手続きの主体となるが、1ヘクタール超は知事の許可が必要となる。2007年、市が不動産管理会社(小田原市)から盛り土造成計画を受理した後、開発面積が1ヘクタールを超えている疑いがあると県に通報した。これに伴い、県はすぐに同社に現状復旧などを指導した。
しかし、09年以降も同社は1ヘクタールを超える開発を継続し、土砂の本格的な搬入があったため、市は県に対し、県土採取等規制条例より規制力の強い森林法での対応を複数回提言。市県で情報を共有したが、県は07年の対応とは異なり、「仮に1ヘクタール を超えていたとしても林地開発許可違反とすることは難しい」との見解が示され、土採取等規制条例 で対応するよう指導されたという。市の意見は受け入れなかった。
今回の聞き取りで、複数人の市職員は「何度も問題意識については県には伝えていたが、結論がずっと先送りされ、速やかに動いていただけなかった」と指摘。県の対応に疑問を投げかけている。
市長は、今回の調査結果を踏まえた当時の市の対応について「県の第三者委の最終報告を踏まえてから見解を述べる」と話した。
ヒアリングの結果は、市のホームページで公開している。https://www.city.atami.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/012/621/hiaringu.pdf
(熱海ネット新聞)
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