
熱海市伊豆山で昨年7月に発生した土石流災害をめぐり、崩落した盛り土のあった土地の前・現所有者ら8人と関連会社5社を相手に、遺族や被災者ら84人が総額約58億1900万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が5月18日、静岡地裁沼津支部(古閑美津恵裁判長)であった。土石流災害では、関連死を含め27人が死亡、1人が行方不明となり、住宅など約130棟が被災した。
訴状などによると、前所有者の会社は熱海市への届け出で盛り土の高さを15メートルと申請していたが、実際には約50メートルに及んでいたとされる。原告側は、土砂崩壊で逢初川下流域に被害を及ぼす危険性を認識していたのに、前・現所有者らが排水設備や擁壁などの防災工事を怠ったことが被害を大きくしたとし、「土石流は人災により生じた」と訴えている。
これに対し、現所有者側は、盛り土の存在を知らず、土砂が崩壊する危険性も認識していなかったとして「何らの過失もない」と主張。前所有者側は欠席したが、答弁書で請求棄却を求めた上で、後日に具体的な主張をするとした。前・現所有者側はいずれも、請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
また現所有者の代理人・河合弘之弁護士は、裁判後、静岡県の第三者委員会が盛り土の造成工事に対する当時の県と熱海市の対応を検証した結果、「失敗だった」と総括する最終報告書をまとめたことなどを受け、齋藤栄市長に対して裁判に参加を求める「訴訟告知」の手続きを行ったことを明らかにした。裁判に行政が参加することで新たな局面を迎えた。
(熱海ネット新聞)
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