土石流遺族 熱海市を提訴、損害賠償請求へ 行政の過失指摘

熱海市伊豆山の大規模土石流から1年目を迎えた7月3日、犠牲者の遺族らで作る「熱海市盛り土流出事故被害者の会」の瀬下雄史会長(54)が市内伊豆山で記者会見し、「市の判断には過失があり、行政の責任を明らかにしたい」として、熱海市と静岡県を相手取り、8月末までに損害賠償を求めて静岡地裁沼津支部に提訴すると表明した。ほかの遺族•被害者からも賛同が得られているという。

熱海市に対しては、神奈川県小田原市の不動産管理会社が2007年に盛り土の造成を市に申請した際、災害防止策などの事項が空欄で形式的要件を欠いているにもかかわらず受理。実際に造成された盛り土の高さが県条例の基準を3倍超えていたことを知りながら、安全対策を強制する「措置命令」を取らなかった。県と気象庁が前日、避難指示と同じ警戒レベルとされる「土砂災害警戒情報」を出していたにもかかわらず、市は災害発生まで避難指示を出なかったなどと、市の過失を指摘。静岡県に対しては、熱海市の対応を是正したり、改善したりする措置を講じなかったと主張している。

瀬下会長は「盛り土を造成、放置した責任は土地の前・現所有者が一番重いが、それをしっかり管理せず、阻止できなかった行政の責任も非常に重い。処罰を下すことよっての抑止力、再発防止につなげたい」と述べた。
「被害者の会」などの原告団(計84人)は、すでに盛り土の土地の前・現所有者と関連会社5社を相手取って、総額約58億円の損害賠償請求訴訟を静岡地裁沼津支部に起こしている。この訴訟では、熱海市は原告側を補助する立場で裁判への参加を決めているが、今度は損害賠償を求められる被告に。熱海市長選(9月4日告示、11日投開票)への影響も懸念されている。
1年前の2021年7月3日に発生した伊豆山土石流では、27人が死亡(災害関連死含む)、今も1人の行方が分かっていない。
(熱海ネット新聞)

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