
熱海梅園で月に照らされて「待宵草(マツヨイグサ)」がひっそりと咲いている。夏の夕方を待って咲くからことからこの名が付き、翌朝にはしぼんでしまう。花は午後7時ごろから咲き始め、見る間に明るい黄色のつぼみが十字の形になり、ぱっと開く。次々に開いてゆく様は壮観。しかし、一夜限りの可憐な花で、朝を迎えるとしぼみ、黄赤色に変わて散る一日花。
大正浪漫を代表する詩人・竹下夢二は「宵待草(ヨイマツグサ)」で「待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬそうな」と詠んでいる。植物上の名称が「待宵草」。「宵待草」は通称で同じ花。
ちなみにほぼ同じ花で白色の花が月見草。太宰治の小説「富獄百景」に「富士山には月見草がよく似合う」の名文句が登場するが、この月見草は黄色い花で実は「待宵草」だった。
遣る瀬ない釣り鐘草の夕の歌があれあれ風に吹かれて来る
待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草の心もとなき想ふまいとは思へども
我としもなきため涙 今宵は月も出ぬさうな
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