満月が創りだす幻想的な「月の道」やかがり火に照らされた特設舞台で能や舞踊、常磐津、はやしなどが演じられる「あたみ海辺の薪能 熱海の森羅万象に捧ぐ」が10月14日夜、熱海サンビーチで開幕した。室生流能楽師・辰巳万次郎さんが「世界で初めて、今宵本邦初公開」と今回の舞台のために作った「海」では、雲間の月が熱海湾を照らす中、辰巳万次郎さんが船に乗って登場。ゆっくりと舞台に降り立ち、新作を演じた。およそ1500人の観光客や市民は、海面を照らすムーンロード、潮騒とともに幽玄の世界に酔いしれた。
常磐津「夕月船頭」では、熱海在住の舞踏家花柳あらたさんが、月夜の船頭の風情を舞った。常盤津文字兵衛さんの三味線や囃子が奏でるこの曲は、江戸時代末、花柳流初代家元花柳壽輔が振付をした曲で、大阪の淀川の情景が歌われている。今回は振り付けや衣装を江戸前の粋でいなせな風情で表現した。
オープニングセレモニーでは、斉藤栄市長があいさつ。来宮神社・雨宮盛克宮司が「舞台払いの儀」を執り行い、熱海芸妓が常磐津「熱海名所」「瀬音」「晒女」を披露。たいまつで舞台袖に明かりをともす「火入れの儀」に続いて、能舞台が始まった。
初日は開幕前に市内のフラダンスグループ「ラハラウ・オ・ハレブメ」がステージを飾り、来場者は潮風を受けながらアートな一日を楽しんだ。鑑賞無料。15日も上演する。
◆斉藤栄市長 能舞台は全国にあるが、熱海の舞台は自然一体で最高のエンターテイメントのステージ。今日あらためて熱海は世界に誇る国際観光温泉文化都市なのだなと実感した。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。