カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)整備推進法案に関連し、熱海市の斉藤栄市長は12月26日、会見で「在任中にカジノ誘致に手を上げるつもりはない」と述べ、市としてカジノを含むIRの誘致に乗り出す考えがないことを明らかにした。
これまでも市長は一貫して慎重な姿勢を貫いてきたが、「熱海には今年で130年を迎えた熱海梅園が代表するように、歴史、文化、景観、温泉、食文化といった固有の資源があり、カジノに頼らないまちづくりをしていく」と正式に反対を表明した。
これに伴い、情報収集を目的に2002年(平成14年)から毎年度、熱海カジノ誘致協議会(森田金清会長)に出していた100万円の補助金も今年度で打ち切り、来年度の予算に盛り込まない。
熱海でのカジノをめぐっては、川勝平太知事が12月16日の県の会見で「静岡に適地があるとすれば、熱海の初島だろう。住民の意向を踏まえて考える余地はあるが、収益金の一部が初島の公共のために生かされるのであれば、可能性は否定しない」と話していたが、市長はギャンブル依存症を懸念する市民や、観光経済3団体のトップからも意見を聞き、在任中にカジノの誘致活動をしないことを明確に打ち出した。
推進派の市民からは「雇用がないがゆえに、多くの若者が熱海を離れ、首都圏などに移住して行く。人口減少問題や市内経済の活性化を考えれば、雇用創出につながるIRや公営競技の場外発売所誘致なども検討すべき」の声もあるが、市長は「ギャンブルより、もっと熱海に相応しい医療や福祉関連を誘致するなどして対応したい」と話した。
ただし、市長は将来、ラスベガス型のIR型巨大カジノではなく、国際姉妹都市・カスカイス市(ポルトガル)のような規制が厳しい単体カジノ誘致には「次の市長が考えればいい」と話し、”将来のカジノ誘致”には含みを持たせた。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
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