【編集室】議会がドクターストップ! カリスマ職員、月間残業160時間 


「マジかよ、このままじゃ過労死してしまう」-。3月8日の市議会2月定例会の一般質問で、議場が騒然となる場面があった。1年365日、24時間対応OKのロケ支援事業「ADさん、いらっしゃい!」を担当する市観光経済課メディア戦略担当職員(51)の年間残業時間が、昨年度で年間1100時間あり、最大だった9月は約160時間。今年度は1月末時点ですでに580時間あることが分かった。米山秀夫氏(自民党・公明党・女性の会梁山泊)の質問に、市当局が答えた。
まず驚いたのは、斉藤栄市長がこのカリスマ職員の給与について、常々、メディアの取材に「他の職員と同じ」とした上で、「他に携帯電話代として月額1万円支給しているだけ」と話していたこと。しかし、実際は年間に200万円-300万円の残業代が支払われていたことが分かった。
もっとも、年20本程度だったドラマ、映画を含めたロケ実績が、この職員の努力で100本超に急増。その宣伝効果は1年で約20億円との試算もあり、2011年の東日本大震災時に過去最低の約246万人にまで落ち込んだ宿泊客を300万人超にV字回復させたことを加味すれば、十分に得心はいく。

米山氏が問題にしたのは、異常なまでの残業時間だ。労働基準法によって、勤務時間は「1週間40時間、1日8時間まで」と決められ、市の規定でも残業は「月45時間、年間360時間」。昨年問題になった電通の過労自殺では、亡くなった社員の時間外労働は月100時間超。政府は長時間労働の是正策として残業時間の上限規制について「月80時間」を軸に調整に入った。それを思えば、カリスマ職員の残業時間ははるかに危険水域を超えている。

米山氏は「担当職員の努力は大したものだと敬意を払う」とした上で「健康上問題がないのか。市は残業を追認しているが、もし電通のようなことになったら言い逃れができない」と迫り、「担当職員を増やすなどして現職員の負担を減らすことを考えるべきだ」と質した。これに市長は「1人の職員がこれだけ残業をしていることは、精神的、肉体的に負担が大きいと考える。本人にとって負担が軽減し、働きやすい環境になるよう、異動も含め、人事を考える」と話した。
一般職員だから、残業代も出るが、管理職に登用すればそれもなくなる。余人をもって代えがたいポジションだけに悩ましい。
(熱海ネット新聞・松本洋二)

◆「ADさん、いらっしゃい!」のロケ支援内容
1.番組の企画に見合うネタ(素材)・施設の情報提供
2.ロケ先における一般出演者(その道のプロ等)のご紹介、連絡調整
3.公共施設における撮影の申請補助
4.ロケバス等の関係車両の移動ルート、待機場所に関する情報と手配
5.出演者様の着替え・メイク、打ち合わせ場所等のご紹介と手配
6.ロケ弁等のご紹介と手配
7.ロケ中のご宿泊先、打ち上げ会場等の情報提供

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