日本を代表する花街、熱海の「熱海をどり」が4月28日、熱海芸妓見番歌舞練場で始まった。28回目の今年は常磐津「屋敷娘」と端唄・俗曲「歌暦 あべこべ歳時記」を披露。立方18人、地方9人による艶(あで)やかな舞台が会場を盛り上げた。29日も午前と午後に開催され、2日間で4舞踊公演し、およそ1000人が来場する。
(熱海ネット新聞)
◆熱海をどり 熱海芸妓見番の大改修(平成2年)を記念してスタート。日本一の規模を誇る熱海芸妓衆が年に2日(4月28、29日)開催する熱海のGWの看板イベント。主催熱海芸妓置屋連合組合(☎0557-81-3575)
常盤津「屋敷娘」は、本名題を「四季詠○い歳」(しきのながめまるいのいとし)四変化舞踏の秋の部としてつくられた。屋敷娘とは大名の奥方に仕える女性を指す。この女性たちは自由に外出などが許されることがなかったのでお宿下がり(お休みの日)の時、芝居などを観に行くことが最大の楽しみだった。
立ち方=ほたる、ちづ穂、美保
浄瑠璃=常盤津考野、金太郎、かえで
三味線=旬子、露子
端唄・俗曲「歌暦(うたごよみ) あべこべ歳時記」では、普段何気なく流れている季節の変わりを「もし逆になったら!」と想定。冬・秋・夏・春と流れていく四季を、正月を交えた5景で描き、場面ごとに色とりどりの衣装をまとった芸妓衆が優雅な舞を披露した。
第一景「六つの花」 降りしきる雪の中、吉三郎への募る想いにお七は…
▽立ち方 吉三郎=紗都美、雪の精=京馬、小夏、静、お七=宏紀
▽唄 小文、一馬、小菊
▽三味線 露子、千代菊、旬子
▽替手 初菊
第二景「秋の聲(こえ)」 目に染みる紅葉の下、江島と生島の許されぬ恋と若者の恋
▽立ち方 江島=松千代、生島=関美、若い女=あやめ、一代、琴千代、蘭、若い男=紗都美、美華、初文
第三景「夕涼み」 夏の夕岸。宵から夜にかけての涼しさが怖さに変わり…。
▽立ち方 団十郎に似た男=いろ紙、芝居茶屋の女=こはく、ガイコツ=美華、初文
第四景「花娘」 花ざかり。いづれがあやめかきつばた。可愛らしさの花娘。
▽立ち方 花娘=あやめ、一代、琴千代、蘭
第五景「正月」 料亭大広間。新春らしいまゆ玉や獅子舞。お客の頭を噛んで厄払い。
▽立ち方 芸者=宏紀、京馬、小夏、静、獅子舞=関美、いろ紙
出演者全員によるフィナーレの大喜利「三下(さんさ)がり甚句」を終えると、西川千鶴子組合長(松千代)が「市制80周年を迎え、外国人のお客様も増えてきた。世界の皆様をお迎えできるよう熱海芸妓一同、精進し、伝統を守りつつ、新しいものにも挑戦してまいります」とあいさつし、全員で三本締めを響かせた。
▽口上=松千代 構成・振付・舞踊指導=花柳あらた、花柳寿賀洲、常磐津指導=常磐津文字兵衛、端唄・俗曲指導=花季彌生、鳴物構成=望月左之助
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