【編集室】熱海国際映画祭、不安材料満載で出航 ペーパー会社疑惑も


来年6月28日~7月1日に初開催される「熱海国際映画祭」(実行委員会主催)に、市が500万円の補助金を支出する平成29年度一般会計補正予算案(議案56号)が12月14日の11月定例会最終本会議で採決され、賛成多数で可決された。街全体をシネコンにし、閑散期の誘客と海外メディアへの熱海プロモーションを目論む齊藤栄市長の構想はひとまず出航の運びとなったが、不安材料がてんこ盛り。採決前の討論では、米山秀夫氏が「映画祭開催を市に持ち込んだ株式会社フォーカス社(髪林孝司社長、以下フォーカス)の登記上の本店住所(東京中央区銀座1丁目)を訪ねたが、実態のない会社だった。このまちで映画祭が行われることに反対しはしないが、商業行為に市税を支出するには、慎重でなければならない」と反対の立場から意見を述べ、警鐘を鳴らした。賛成の立場からの討論がなかったのも異例だ。
一般質問やこの議案の審議を付託された観光建設公営企業委員会では、突っ込みどころが満載とあって、白熱した質疑が交わされた。

議員からは「市はスカパー、イオンシネマなどとともに実行委員会に名を連ねているが、スカパー、イオンシネマが正式に実行委員会に加わるという言質がとれていない」「映画祭開催を市に持ち込んだフォーカスはインターネットでも検索できない。そのような会社に1363万円もの事務局費を支出するのはとても不安だ」「来場者収入を4日間で1万人を想定しており、1日2500人の計算となる。1カ所200人として12カ所以上いる。映画館のない熱海でそれが可能なのか」「商売をやっている立場からしても、この時期、お客さまは来ない。土日以外は厳しい」「実行委員会の自己資本は400万円だけだ。補助金は熱海市の500万円と日本芸術文化振興会の1500万円とあるが、振興会のほうはまだ決定していない。協賛金収入は2000万円が2件、200万円を8件見込んでいるが、具体的に決まっていない」「フォーカスから話があったのが今年9月。しっかり準備ができていないし、市も専任の職員を配置していない」-。
これだけ、不安材料を指摘されながら、委員会、本会議で可決されたのは、市長が言うように「ジャカランダフェスティバル後の6月の閑散期誘客」に期待するものだが、一方では以前の花の博覧会の苦い経験から、赤字が出た場合、新たな市税投入が危惧される。資金が集まらず、途中でとん挫する不安も残す。
実行委員会への熱海市の500万円負担が議会の議決を得たことで、とにもかくにも来月8日から公募がスタートとする。何をやってもうまくいかなかった梅雨時期の集客イベントに期待する観光経済関係者も多く、4選出馬を表明し、「あえて勝負に出た」市長のかじ取りを注視している。
(熱海ネット新聞・松本洋二)

■熱海国際映画祭 韓国の「釜山国際映画祭」、パリの「ECU(エキュ)ヨーロッパ映画祭」と連携し、国内外の若い才能を見いだし3000本程度の応募から20本程度の優秀作品を選び、釜山、ECUの優秀作品数点とともに上映。一般来場者はチケット(1200円)を購入して鑑賞。
■審査員・各賞 ECU映画祭代表のスコット・ヒラー監督、映画監督協会理事長の崔洋一監督や脚本家らで作る審査委員会が、インターナショナルコンペ部門のグランプリ(賞金100万円)など受賞作を選ぶ。受賞作は後日、イオンシネマで公開。国内外の若い才能ある映画監督の作品を発掘し、世に出す。脚本賞には、熱海が舞台の「金色夜叉」の作家、尾崎紅葉にちなみ「紅葉賞」が贈られる。
■主催 熱海市、フォーカス、スカパー(予定)、イオンシネマ(予定)で作る実行委員会
■株式会社フォーカス 事業目的は映画祭企画および運営業務。映画、テレビ番組制作および販売など。代表取締役の髪林孝司氏はテレビ東京の関連会社の業務に携わる。今年9月に合同会社から株式会社に変更。本店は東京都銀座1丁目。

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