住宅宿泊事業法(民泊新法)の6月15日施行に伴い、マンションや戸建別荘などを外国人旅行者らに宿泊させる民泊事業者の静岡県への申請・登録が3月15日に迫った。熱海市では市議会・2月定例会でも民泊に対する条例制定の上程がなく、ガイドラインが示されていないことから、熱海市内のマンションおよび別荘分譲地の所有者住人、管理組合役員らが「民泊を考える会」をつくり、2月28日、いきいきプラザで会合を開き、提言をまとめた。マンション管理士でもある笹嶋洋代表の呼びかけで昨年5月に発足した会で、3月2日に齋藤栄市長と川口健市議会議長に要望書を届ける。
■熱海でも「ヤミ民泊」が進行
2020年東京五輪・パラリンピックを控え、政府は東京都を中心に、全国で外国人観光客の4000万人訪日を目指し、マンションなどの空き部屋に外国人観光客らを泊める、準備を進めている。一方で防犯面や騒音、火災防止、ゴミ処理の問題に加え、大阪市西成区の「ヤミ民泊」で女性の頭部が発見された事件があったことから、関心が高まっている。熱海市内でも、海外の旅行サイトを通じて予約、宿泊させるヤミ民泊が一部で始まっており、マンション・別荘のオーナーや管理組合との間に軋轢が生じている。
■リゾートマンションや戸建別荘がターゲット
他都市とは違い、全国で唯一「別荘税」を課している熱海市では、高級リゾートマンションや戸建別荘がターゲットなっている側面があり、誘客目的の安易な「民泊事業」への反発が強い。同会のメンバーは、市に民泊に対する考え方をただしているが、明確な回答がない。国が推奨する事業で、登録が県。しかもインバウンドにもつながることから、現在、県が上程している「県条例」の県議会採択を見守っているのが実情だ。
これまで3回にわたり、昨年5月から約20人の会員と民泊のメリット、デメリット、問題点などを話し合ってきた笹嶋代表は「事業者が(県に)申請・登録しても、市町から要請があれば、除外区域にすることができる。そのためには早急に管理組合の規約を改定する必要がある」と話し、「(申請・登録が始まる)3月15日までに管理組合の総会を開き、民泊を認めない、居住に限るとの規約改定は時間的に難しいが、臨時理事会を開き、規約改正を決め、その内容を各所有者に周知することはできる。その際、議事録に記載しておくことが大切。規約を持っていれば、熱海市が知事に要請すれば、認めさせないこともできる」と進言した。
■市条例制定へ協議会設置を要望
2日に市長と市議会議長に届ける要望では「住宅宿泊事業者に対し、県への届け出前に、住人や管理組合、町内会などと協議することを義務付けさせる」「騒音やゴミ処理などを事業者にきちっとやらせるために市条例を制定し、トラブルが生じたときの責任の所在を明確にする」としたが、参加者からは「市条例制定に向け、マンション・別荘所有者の住人、管理組合、観光・旅館ホテル代表、町内会代表、市当局で協議会を立ち上げ、協同でこの問題に取り組んでいくことが急務」の声が上がり、全会一致で採択した。米山秀夫、金森和道市議が熱心に聞き入った。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
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