
熱海市議会は3月15日、2月定例会最終本会議を開き、2018年度一般会計予算案、2017年度一般会計補正案など35案件を原案通り可決して閉会した。前年度比13・8%増の総額211億5000万円となる一般会計予算案をめぐる討論では、自民党・公明党・女性の会 熱海梁山泊の米山秀夫氏が「2年にわたり総額12億円もの市税を投じる認定こども園改修について、工事費の精査ができていない」と反対。熱海進政会議員団の山田治雄氏は「認定こども園は将来を担う子どもたちに必要な事業であり、子育て教育環境の充実を図る積極的な予算」と賛成。各議員とも認定こども園事業の必要性には異論がないものの、当局の乱暴な事業推進の手法に反発。意見が分かれる中、賛成多数で可決した。
【認定こども園・解説】
齊藤栄市長は2月定例会で「住まうまち熱海づくりを加速させるとともに、持続的発展のための礎づくりに着手する元年」として認定こども園整備、南熱海支所・消防署南熱海出張所改築などの大型予算を組んだ。このうち、認定こども園整備では、2カ年にわたる事業費に12億円を計上したものの、市当局はその事業費の詳細を明らかにしていない。
■予算案採決3月15日、見積もり完成は3月20日
2月定例会の質疑で説明がなく、付託委員会での議員の追及にようやく当局は「工事費の概算見積もりが上がるのが3月20日。4月13日に議会説明会を開く。耐震等の設計変更で2月中に予定してスケジュールが遅れたのが原因」と答弁。認定こども園改修工事を含む一般会計予算案を採決するのは3月15日で間に合わず、結局、議員には12億円工事費の詳細が知らされないまま採決を迫られる事態となった。
■市民に説明できないことに賛成できない
米山氏は「これでは、慎重に審査しようにも、工事費の精査が終わっておらず、判断するすべがない。全国の自治体の中で説明できない議案を提出するのは熱海市だけだ。市民に説明できないことに賛成できない」と反対。賛成した山田氏も「市民、議員に対して丁寧な説明と円滑な事業執行を要請する」と注文をつけた。
たかが5日だが、されど5日…。意図的ではないにせよ、予算案採決の日までに工事費の使途説明がなされなかったことで、行政と議会の信頼関係にギャップが生じた。
■認定こども園整備事業 小嵐保育園と近くの第二小の余裕教室を活用し、0~5歳児を対象としたこども園を新設。小嵐保育園側には園児と保護者、住民の交流スペースを設ける。開園予定は2020年度。工事費は2年間で計12億円。
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