東日本大震災の津波で発生した流木で作られた「津波バイオリン」の演奏会が5月13日、熱海市のマリンスパあたみで開かれた。「TAKATA-FESTA(タカタフェスタ)in熱海」(同実行委員会主催)のプログラムの中で行われ、バイオリニストで熱海市職員の真野有奈さんがバッハのG線上のアリア、モンティのチャールダーシュ、葉加瀬太郎の情熱大陸など8曲を弾き、犠牲者の冥福を祈る優しい音色が館内に響いた。市内に住むピアニストの水野久恵さん、ボンゴ・カホン奏者の成瀬紀子さんが演奏に加わり、澄んだ音色を響かせた。
■バイオリンの「魂柱」に津波に耐えた「奇跡の一本松」
震災の記憶を伝えようと、バイオリン作家の中沢宗幸さん(東京都渋谷区)が製作。被災家屋のものとみられる流木を持ち帰り、材料にした。表板と裏板をつなぐバイオリンの心臓部「魂柱」には津波に耐えた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」の一部が使われている。
国内外の音楽家1000人が「津波バイオリン」を弾き継ぐ「千の音色でつなぐ絆」プロジェクトの一環。5年前に始まり、真野さんが575人目。昨年11月、熱海市立図書館で「津波バイオリン」を知り、実行委員会と相談してこの日の演奏会につなげた。演奏を終えた真野さんは「優しくも深みを感じるこの音色で、少しでも人々を元気にできれば…。プロジェクトが”あの日”を忘れないことにつながってほしい」と語った。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
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