熱海市伊豆山の「走り湯神社」(伊豆山神社の弊社)で5月14日、例祭が斎行された。今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、祭典を縮小。神事だけ行い、日本三大古泉で知られる走り湯前での「湯汲(くみ)式」は取りやめた。
神事は、伊豆山神社の原嘉孝宮司と大鳥居素禰宜が執り行い、走り湯温泉組合、伊豆山温泉組合、伊豆山温泉観光協会の代表が玉串を奉奠(ほうてん)し、伊豆山温泉の元湯「走り湯」の長久を祈った。
齋藤吉徳走り湯温泉組合長(東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山&VIALA総支配人)は「走り湯は地域、生活を支えてくれる貴重な財産。千数百年の歴史の中には、今回の状況よりもっと大変なこともあったと思う。それを先人たちが脈々と引き継いでくれた。我々もなんとか踏ん張って手を携え、湯を後世に引き継いで行こうという思いを新たにした」と述べた。
政府が静岡県など39県の緊急事態宣言を5月14日で解除することには「商売をしないと生活も会社も成り立たない。いつかは解除していただき、営業を再開してお客様を万全の体制で迎える準備を整えているが、一方で熱海は首都圏から多くのお客様がいらっしゃる。よりいっそう、お客様と従業員の感染リスクを極力軽減するよう努める必要がある」と気を引き締めた。
走り湯は、約1300年前(奈良時代)に修験道の行者に発見されたと伝えられ、全国でも珍しい横穴の洞窟の中で温泉が吹き出す間欠泉。山中から噴き出した湯が海岸に飛ぶように走り落ちる様からこの名が付いた。鎌倉時代の正史「吾妻鏡」には愛媛の道後温泉、兵庫の有馬温泉とともに日本三大古泉として紹介されている。
(熱海ネット新聞)
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。