客船誘致へ複合型待合施設や市場、食堂/熱海港湾エリアの将来構想

熱海市は6月21日に閉会した市議会6月定例会に「熱海港湾エリア賑わい創出整備計画案」を示した。静岡県、熱海市、市内経済3団体からなる熱海港客船誘致委員会が港湾利用関係者からの意見を参考に、官民連携で検討を進めるための基礎資料として作成。国の補助を受けて昨年度に3200万円かけて調査した。実施事項ではないが、2020年東京五輪・パラリンピック後の熱海が目指す観光のアウトラインが透けて見える。

■複合型待合施設や市場、食堂
計画案では、事業を「海の玄関口(熱海港)」と「海辺」に分け、各施策の優先性や官・民の実施主体を明記したロードマップも記載している。「海の玄関口」では、通称「ナナハン岸壁」に毎年寄港している商船三井の「にっぽん丸」(全長167メートル)と同程度以下のクルーズ船の大きさに特化し、ハイグレードな外航クルーズ船の誘致を目指す。また世界の富裕層を乗せたスーパーヨット(全長24~50メートル)の係留施設を設ける。混雑緩和に臨港道路である国道135号と交差点(和田浜交差点)を陸橋化するなどの改良が必要としている。
乗船客や観光客を滞留させる核になる施設として、熱海港南側の最奥部(熱海後楽園ホテル前)に漁業施設、魚市場、食堂の複合施設。さらにサンレモ公園から熱海港、現存の漁師食堂のエリアに定期船の待合所などが入居する複合施設「フィッシャーマンズワーフ」(魚市場・港食堂・観光船等旅客施設)を整備するとしている。

■海岸と駅入り口を結ぶエスカレーター
「海辺」では、熱海サンビーチの観光名所「お宮の松」付近の市営東駐車場の上にバス乗り場などを備えた拠点施設を造るプランも提示。利便性向上に東海岸町の海岸部とJR熱海駅入り口の平和通り商店街を結ぶエスカレーターを設置。JR熱海駅から港湾エリアへの移動をスムーズにする海上タクシーの運航も挙げている。
同整備計画の対象範囲は、熱海港~和田浜~渚町~熱海サンビーチ~JR熱海駅をおおよそ含むエリア。計画案は、今後の港湾エリア整備の基礎資料となるもので決定事項ではないが、県や国と連携し、民間の投資も呼び込みながら事業を一つ一つ進めていく方針。
■2020年東京五輪後を見据えて準備
堅調に宿泊客を伸ばしている熱海だが、多くの市民が懸念しているのが東京五輪の反動だ。それを踏まえて市は2020年後を見据えてオール熱海でクルーズ船の熱海寄港を生かした経済活性化に取り組んでいる。今回の計画案が具現化されれば、熱海市は富士箱根伊豆エリアの海の玄関口として外国人ツーリストの受け入れ拠点になる。千人単位の旅行者が上陸して観光や飲食、買い物に繰り出し、大きな経済効果をもたらすことが期待される。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
■熱海港客船誘致委員会メンバー 会長=齊藤栄市長▽副会長=鵜沢精一(伊豆小型船安全協会熱海支部長)、中島幹雄(市観光協会連合会長)▽委員=内田進(熱海商議所会頭)、目黒俊男(熱海市ホテル旅館協同組合連合会会長)、遠藤哲也(大熱海漁業協同組合組合長)、鈴木淳郎(富士急マリンリゾート専務)、佐野茂樹(青木建設社長)、遠藤光幸(スパマリーナ熱海ハーバーマスター)、杉山雄二(県港湾局長)、植松静夫(熱海土木事務所所長)、神山正之(県伊豆観光局長)、森本要(副市長)








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