立憲民主党など野党は8月31日、国会内で熱海市伊豆山の大規模土石流災害に関する野党合同ヒアリングを開いた。遺族や被災者でつくる「熱海盛り土流出事故被害者の会」の代表、弁護士が出席。発生現場付近の盛り土を放置してきたとして行政の責任を追及し、再発防止へ向けた制度の見直しやこの問題を放置してきた熱海市の対応を厳しく批判した。
土石流で母親を失った被害者の会会長の瀬下雄史さん(53)は「盛り土崩落の危険性があることを十分に認識して置きながら、起点を10年以上放置してきた熱海市の対応には大きな過失がある」と指摘。「われわれ被害者の会は、前土地所有者の天野二三男氏(小田原市の不動産会社元代表)、現土地所有者の麦島善光氏(崩落現場の伊豆山一帯の山林を所有する「ZENホールディングス」実質オーナー)の加害者に加え、長年黙認してきた行政によって引き起こされた事件と思っている。熱海市が法に則った毅然たる対応をとっていれば、行方不明者 1名を含め27名の人生を突然奪い、130戸以上の住民の生活を一瞬にして奪った人災は起きなかった」と述べた。
さらに盛り土の前土地所有者•天野氏が自由同和会(保守系同和団体)の関係者で市に高圧的な交渉を行なってきたことや、熱海市が所有していた土地を現所有者の麦島氏に買ってもらっていたことを引き合いに出し、「既成事実が広く知れ渡ることにちゅうちょし、被災者支援に力が入らないのではないか」と、齋藤栄市長と現所有者の癒着にも疑問を投げかけた。
全国から熱海市に寄せられた6億円超の義援金(被災者に直接配分する寄付金)が災害から約2カ月たつのに、被災者に支給されていない窮状も訴えた。市は(盛り土の造成と崩壊の事実関係を検証中の)県の動向を見極め、9月中旬に分配委員会を立ち上げるとしているが、「現在、旅館等で避難生活を送っている避難者は9月15日を期限に仮住宅で生活を始めなければいけない。生活再建者への現金支援は緊急かつ重要な事案」と一人ひとりに寄り添った早急な救済を求めた。
これに対して、地元選出の渡辺周衆院議員(立憲民主党)が「命かながら避難した人たちには一刻も早い分配が必要。義援金支給を熱海市長(自治体の首長)の判断で決めることはできないのか。制約はあるのか」と出席した政府当局にただした。
当局は「直接縛る法律はない。義援金の支給は自然災害が原則。人のせいで起こる災害もあるが、今回は自然災害と捉えており、不公平が出ないように自治体が配分委員会を作って決めれば支給できる」と回答。阪神大震災、東日本大震災、熊本豪雨災害などの際の義援金配分の事例ストックは内閣府にある。自治体同士で問い合わせて決めることもできる、と話した。
熱海土石流の賠償責任が、熱海市にも向けられる可能性もある。
(熱海ネット新聞)
写真=立憲民主党のHPより
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