
日本の伝統芸能の後継者を育てる独立行政法人日本芸術文化振興会の国立歌舞伎俳優養成所の修了式が3月13日、東京・千代田区であり、熱海市下多賀の小森龍成(りゅうせい)さん(22)が歌舞伎俳優に羽ばたいた。
14日、市議で邦楽科の父・小森高正さん(53)とともに熱海市役所に齋藤栄市長を訪ね、修了書を披露するとともに、「坂東千代蔵(ばんどうちよぞう)」の芸名で4月に歌舞伎デビューすることを報告した。新村茂昭教育長、立見修司観光建設部次長が同席した。
熱海市出身の歌舞伎俳優は、2代目市川猿四郎(えんしろう)さんに続いて2人目。猿四郎さん(実家が市内清水町のコーヒーしょっぷたむら)も熱海高校の卒業生。現役の静岡県出身の歌舞伎俳優はこの2人だけという。
龍成さんは、父の影響で多賀小時代から三味線、民謡舞踏を学び、熱海高卒業後の2017年4月に第23期研修生に合格。歌舞伎の道を目指して養成所に飛び込んだ。
2年間の研修では歌舞伎の実技のほか立ち回り、日本舞踊、義太夫、長唄、鳴り物、筝曲、化粧、衣装、体操、作法など多くを学んできた。
“男の宝塚”の異名を持つ同養成所を修了した6人(入学時は9人)はそれぞれ幹部俳優に入門。龍成さんは「橘家(たちばなや)」門下に入門し、17代目市川家橘(かきつ)さんのもとで本格的な修行に入る。「千代蔵」の名は、小森家の屋号「千代之家」の屋号にあやかり、家橘さんが命名した。映画スターの坂東妻三郎さん(田村正和の父)を輩出した名門。
「右も左も分からない状態で入ってしまったので、業界用語もしきたりもわからず、ひたすら覚えるしかなかった。毎日8時間、うち3時間は正座という厳しい稽古を頑張りました」「もらった名前を自分の力で大きくし、お客様に喜んでいただけるような舞台を務めたい。いずれは先々代の市川家橘の当たり役だった『切られ与三(与話情浮名横櫛)』を演じたい。熱海でも自主公演し、小中学生に歌舞伎を伝えるとともに観光にも寄与したい」などと今後の抱負をつづった。
父高正さんは「小森家は三味線の家で私が3代目、長男の隆盛に4代目を継がせたかったが、三味線は裏方。舞台の真ん中に立てる役者の道を選んだ。夢に向かって頑張れば夢は叶う。それを体現した息子を応援していく」と話した。
初舞台は4月2日が初日の歌舞伎座。演目、配役は3月20日に発表される。座組みは市川海老蔵さんと同じで一緒の公演が予定されている。伝統文化に恵まれた熱海市にまた一つ、楽しみが加わった。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
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