
熱海市熱海の初島を望む山林に民間業者が散骨場の建設を計画し、周辺住民が反対している問題で、住民側が窮地に立たされている。市は「あらゆる可能性を検討したい」と繰り返しているが、動きが鈍い市に代わって、周辺住民を支援する政府与党の市議が21日、厚生労働省を直接訪ねて今回の問題を調査した。
結論は、散骨は規制されておらず、「墓埋法(墓地、埋葬等関する法律)に抵触しない」との見解が示されたという。業者は3月末に市の風致地区の土地形状変更許可も得ており、現状では計画を中止させるのは難しいのが実情。石破茂幹事長、野田聖子総務会長に会って現状を説明、協力を要請した。
田辺国治副市長によれば、市が4月18日に「事業を一時見合わせてほしい」と行政指導したところ、業者は応じる構えを示しながらも「損害賠償が生じる可能性」を示唆したという。しかし、計画通りに建設、販売されれば1区画9万円で8000区画。しめて7億2000万円。この補償を誰が負担するのか。住民側が応じるのか、市税を投入するのか。
それより何より、業者は市の行政指導に応じるそぶりを見せながらも、4月21日には熱海市清水町から熱海市熱海の山林の住所へ「本店」の移転登記を済ませている。高額の損害賠償に応じなければ、予定通り、建設するという意思表示である。
国内で「散骨場建設」の動きは他にもあるが、いずれも反対訴訟などでとん挫しており、もし計画通りに強行され、熱海に散骨場が建設されれば、日本第一号になる。観光を基幹産業とする熱海市民が反対の署名集めに躍起になるのもうなずける。後手に回ってしまっただけに解決には時間がかかる。
(編集主幹・松本洋二)
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