
15日から「もみじまつりが」始まる熱海梅園で14日、早咲きの梅の花が咲いた。昨年より6日遅く、最近10年で3番目に早い。
敷地には464本の梅の木があり、早咲き品種は例年、11月中旬から12月に咲き始める。14日は市の担当者が、正面管理塔付近で八重寒紅(やえかんこう)の赤い花を1輪確認した。「日本一早い梅」と「日本一遅い紅葉」の競演が始まり、来園者は晩秋と新春を両方楽しめる。
ところで、この梅の木(八重寒紅=930番)にはドラマが秘められている。今年2月8日に熱海梅園を襲った大雪のことだ。雪と大風で高さ20mの松の木が倒れ、もらい事故で隣の八重寒紅と唐梅もなぎ倒された。都市整備課の市職員をはじめ、関係者はその2本の梅の木の折れた枝を切ったり、植え直したりして再生してきた。その八重寒紅がこの日、同園の今シーズン最初となる梅花を咲かせたのだ。
よく写真を見れば、花のそばに切った枝の痕が伺える。この木が枯れるのを半ば覚悟していただけに、だれもが開花を心底喜んでいるのだ。それも園内のどの梅よりも早く、もみじ祭り開幕の前日に。こんな話を思い浮かべながらこの1輪を観るだけでも、足を運ぶ価値はある。
(編集主幹)
熱海梅園の「八重寒紅」=11月14日
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