
「お宮の松」がある熱海市東海岸町の「貫一・お宮の像」の前で17日、尾崎紅葉祭のハイライトとなる熱海芸妓による寸劇が行われた。お宮の松で開かれるのは3年ぶりとあって、多くの観光客、市民が駆け付けた。
小説「金色夜叉」でおなじみの「熱海の海岸…散歩して…」の小唄が流れる中、貫一が失恋の怒りからお宮をけ飛ばし、お宮が「涙で今月今夜の月を曇らせる」とほおを濡らす「熱海海岸の場面」を再現したもので、今年は貫一役を愛千代さんが、お宮役を小夏さんが演じた。
熱海芸妓による貫一・お宮の寸劇は昭和30年代より演じられるようになり、尾崎紅葉祭の名を高めるとともに、市民や観光客を毎年楽しませてきた。
この1年、けいこに励んできた2人だが、愛千代さんは「男の気持ちになりきるのが難しかった」、小夏さんは「お姉さんたちが築いてきた伝統をある役を任され、緊張しました」。大役をこなし、ともにほっとした様子。
この後、熱海芸妓見番でも記念演芸会が催され、2人が熱演した。
(編集主幹・松本洋二)
◇金色夜叉
明治33年~36年までの7年間、読売新聞に連載された小説。尾崎紅葉(慶応3年~明治36年)はこの作品で熱海を全国に知らしめた。
◇ストーリーをざっと読む
一高(東大)の学生の間貫一(はざまかんいち)は鴫沢宮(しぎさわみや)と許婚の関係にあったが、宮は貫一を裏切り、金持ちの男と結婚する。
貫一は熱海の海岸でその話を聞き、怒りに震え「来年の今月今夜(1月17日)、僕の涙で必ずこの月を曇らして見せる!」と宮をけり飛ばし、復讐のために高利貸しになり、成功する。その後、2人は熱海で再会するのだが…(あとは実際にお読みになって下さい)。
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