
熱海市の一般会計予算案は前年比2・4%増の180億8800万円。2015年の宿泊者が入湯税ベースで307万6千人(前年比4・6%)だったことを背景に4・2億円増額した。300万人を超えたのは日韓W杯が開催された2002年以来13年ぶり。市の財布のひもが緩くなるのもうなずける。
これに警鐘を鳴らしたのが田中秀宝議員だ。予算案の財源の大きな柱になっているのが、市税の中の入湯税。前年比でおよそ6000万円増額し、4億6562万を見込んでいる。8日の市議会一般質問で田中氏は市当局に、この積算根拠を尋ねた。
仁科文孝市民生活部次長が「平成27年度の決算見込み額は4億4700万円ほどで、この3年間の伸び率を踏まえ、4憶6500万余円と予想した」と回答すると、田中氏は待っていましたとばかり、かみついた。
「熱海市で一番収容能力があり、団体客の受け皿になっている熱海後楽園ホテルのみさき館(142室)が本年8月末をもって営業を終了する。タワー館(93室)は残るが、半分になるわけで当然影響が出る。それは加味しているのか」と。仁科部次長が「作成の時点ではまだ確定しておらず、加味していない」と答えると、田中氏は2本目の矢を放った。
「やはり、大きな団体客の受け皿になっているホテルの売却が成立し、今後、他の外部資本会社が運営していくという話がある。既に従業員にはそのような説明があった。買収した会社は団体客路線から個人客に特化していく考えのようで、そうなれば入湯税も減る。この情報は入手しているのか」。出野武彦観光建設部長は「把握していない」と淡々-。
今議会の最重要議案は「平成28年度熱海市一般会計予算」にある。予算の配分、新規事業の内容ばかりが話題になるが、財源の裏付けも避けて通れない。2015年の国勢調査によれば、熱海市は高齢化率、出生率ともに静岡県の市で最低。斉藤栄市長は少子高齢化対策に腐心し、カンフル注射に躍起だが、財源となる宝刀の「入湯税」に不安を抱えていることも直視する必要がある。2月定例会は伯仲した論戦が続く。
◆入湯税(にゅうとうぜい) 鉱泉浴場が所在する市町村が、温泉の利用者に課す地方税。1人1日当たり150円。
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