
熱海市議会6月定例会の一般質問で斉藤栄市長が「私の徳が足りなかった」と自由民主党議員団の梅原一美氏に謝罪する一幕があった。昨年9月、市長に職金を支払う条例改正に反対した梅原氏のもとに、夜、市長から電話があり、「今後いっさい梅原議員の言うことは聞くつもりはありません、ご承知を―」。しかし、4月の県議選と市議選で形勢が逆転。市政を前進させるための市長の歩み寄りだが、梅原氏は同じような対応をされた2氏にも謝罪を求めた。
「市長戦後の議会との距離感に関する質疑」を全文掲載
◆質問 梅原議員=6月22日・市議会議場
昨年9月の市長選挙以後の斉藤市長ご自身と熱海市議会との距離感の変化についてお尋ねしたい。
今定例会初日の市長の議案説明の際、市政を前へ進めるため、これまで以上に県議会を含めて議員の皆さまとしっかり向き合い、市政に対する政策対話の場を設けるなど、積極的に対話を重ねていく。そのように話していたが、ひねくれて考えれば、今までは積極的に対話を、しっかり向き合ってこなかったが、これからは議会、議員と向き合って十分な対話を重ねていきたいのでよろしく頼む、とも受け取れる。
市長選で大差をつけ3期目の当選を果たし、いささか傲慢な市政運営をしてこなかったか。市長が提案した議案に対し、修正を施して可決したことや議案そのものが否決されたこともあった。このようなことは通常ではあまり起こらない。これは議会に十分な説明がなかったり、議員との対話がなかったから起こったことだ。
否決された議案については、今回の市議選を経れば議会の勢力も変化する、とたかをくくり、全く同じ内容でこの6月議会に再提案し、否決されればそれもやむを得ない、という当局の姿勢が見て取れた。
今回の統一地方選で県議も自民党議員が復活し、市議会においても自民系議員が多数当選した。3つに分かれていた会派も1つの会派となり市長に対する抵抗勢力は勢いを増している。心境の変化は。
◆市長
昨年9月、私は市民の皆さまから負託を受け、3期目の市政運営を担うことになった。財政再建に始まり、新生熱海の実現に向けてまい進し続けた8年であり、この経験があってこその3期目。決しておごり高ぶったことではない。
市長選後、私と市議会議員の皆さまとがかい離していたとの指摘があれば、市長としての「徳」が足りなかったとの反省もやむを得ない。しかし、今後も努力を惜しまず、対話を働きかけ、議会の皆さまとの理解を深めていきたい。
◆質問
おごり高ぶりがないというが、昨年9月18日、市長はある議員に電話をかけていないか。
◆市長
9月18日? ちょっと…。
◆質問
夜10時ごろ、電話を受けたのは私だ。その日は自民党熱海創政会の政調会が行われた日で゙、斉藤市長の3期目の退職金を支払う条例改正の説明があった。市長は1期、2期の市長選では退職金を辞退すると表明して市長選を戦い勝利した。しかし、3期目の市長選では退職金には何も触れなかった。その直後に今度は退職金をもらうと。そのための条例改正。
私は「フェアじゃない」。退職金をもらって駄目だと言っているわけではないが、そのつもりがあったのであれば、選挙前に言うべきだ。これじゃ後だしじゃんけんのようなもの、と意見を申し上げた。
電話があったのはその日の夜だ。内容を簡単にいえば、「梅原議員の言うことは今後一切聞くつもりはありませんのでご承知を―」と。「どういうことなのか」と尋ねると、「あなたは私の選挙を応援してくれなかったじゃないですか」。そういう事だった。
市長としての「徳」が足りない、反省もやむを得ない、というのであれば、その反省の言葉を示し、まずは公の場で謝罪することが議会との離れた距離を修復することになるのではないか。
◆市長
梅原議員に電話でお伝えした過程については大変申し訳なく思っている。撤回させていただきたい。私は15人の議員の皆さまにしっかりとした関係をつくるための働きかけをこちらからやっていく。わたしの働きかけにこたえていただきますよう切にお願いしたい。
◆質問
私の電話の内容については謝罪するというが、似たような会話をされた議員もいらっしゃる。その方には。
◆市長
特定のどなたにどうこうとは言えないが、そういうことがあれば必要な対応は考える。
◆質問
市長にそういう自覚症状がないというのであれば、2つの例だけをお話しする。1つは既に議員を辞めた方、もう1人は南熱海の議員さん。少なくともこの2人には似た対応をしたと聞いている。
私が期待した謝罪の方向ではなかったが、その言葉を頂けたことは評価したい。ひとまず今後の議会と市長の対話に期待し、私の質問を終わらせていただく。
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