4月の統一地方選で市議としてともに最高齢の91歳で当選を果たした熱海市議の山田治雄市議(92)と佐賀県鹿島市の高松昭三市議(91)が7月25日、熱海市役所の議長応接室で初対面し、エールを交換した。12期目の山田さんは昭和2年(1927年)5月生まれ、初当選の高松さんは昭和3年(1928)1月生まれでそれぞれ全国1番目と2番目の高齢市議。
新聞で同じ歳の当選を知った山田さんが今年5月に「90歳を超えて新しいことに挑戦することは素晴らしい」と激励の手紙を送ったことで両者の交流がスタート。高松さんが熱海市が進める「単身高齢者対策、老人グループ支援」等の施策調査の行政視察で熱海市を訪れることになり、2人で183歳というギネス的な高齢市議の初対面が実現した。
二人は手紙を数回やりとししただけで、電話やメールの交換はしていない。それでも「昔から付き合っていた遠くにいる友人のような感じ」(山田氏)「初めて会ったような気がしない」(高松氏)とすぐに意気投合、熱く握手を交わした。
山田さんは終戦時、小型モーターボートの先に爆薬をつけて体当たりする「震洋(しんよう)特別攻撃隊要員」。一方、伊万里市の工業学校で学んでいた高松さんは、人間魚雷「回天」の製造に動員され、ともに混乱の中で10代を過ごした。戦後、山田さんは農業委員、行政書士として市民運動に携わり、リベラル系市議に転身。高松さんは電気工事会社を設立し、現在も会長としてバリバリ働く保守系市議。政治へのスタンスは違っても同年代を生きた者として共感するものは多い。
取材陣から健康の秘訣を尋ねられると、高松さんは予定がびっしり書き込まれた手帳を取り出し、「暇をなくし、常に忙しくしていること」と話し、山田氏が「私の場合も休んでぼやっとしている暇がない。時間があれば、行きたいところも勉強したいこともたくさんある」と相槌を打った。
高松さんが熱海に宿泊するのは、会議で訪れたバブル期の1988年以来約30年ぶり。この夜は、熱海市内の飲食店で夕食をともにした。鍋島藩の家老の末孫である高松さんが「ぜひ兄弟分になりたい」と一献さし向けると、山田さんは「1滴も飲まないんです」。「ありゃ、あんたお酒を飲まないのか」と残念がったが、山田さんは「熱海は酒のまち。もう十分飲んだ。酒が飲めなくとも政治は十分やれる」と笑顔で応じた。
熱海での行政視察は1泊2日の予定で、26日は市の行政担当者から高齢者福祉や観光について話を聞く。(熱海ネット新聞)
■高松昭三 (たかまつ・しょぞう) 4月の統一地方選で佐賀県鹿島市の市議選に無所属新人で初挑戦し、初当選。1928(昭和3)年1月生まれ。91歳。2014年から鹿島市老人クラブ連合会会長。電気工事会社会長。山田治雄氏は、昭和2年(1927年)5月生まれの92歳。
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