静岡県議会2月定例会は3月3日、熱海市選出の藤曲敬宏県議(自民党改革会議)が一般質問を行い、熱海市伊豆山で発生した土石流で崩れ落ちなかった盛り土問題を取り上げ、早急な行政対応を求めた。
災害後の県の調査によれば、伊豆山土石流災害で崩落現場となった逢初川(あいぞめがわ)源頭部崩落現場付近には、盛り土の残土約2万m3が残っており、未だその対応方針が明らかにされていない。県は昨年末までに国が既設砂防堰堤(さぼうえんてい=砂防ダム)に堆積した土砂の撤去や仮設ブロック堰堤を設置したことで、通常の雨であれば、直ちに大崩落の起きる状態ではないとしているが、藤曲氏は「源頭部の落ち残った盛り土が放置されていることで、被災者の不安は払拭されていない。災害発生の原因究明も大事だが、2次災害に備えることも同様に大事だ。熱海市と連携して一刻も早く必要な行政措置をとることが最優先と考える」と話し、措置命令を出す場合は前旧所有者のどちらに出すのか、また行政措置の主体は熱海市か県かなど具体的な対応方針を質した。
これに対し、難波喬司副知事は「盛り土の届出者である旧土地所有者から工事完了の届出は出されておらず、新土地所有者への地位継承も行われていない。従って土採取等規制条例上は、届出者である旧土地所有者がその地位を保有する」と説明。その上で盛り土の安定性についての解析を進める中で残っている土砂で災害発生の恐れがあると認めるときは、「届け出た旧所有者に対して県土採取等規制条例に基づく措置命令を出す。この場合、盛り土の面積が1ヘクタール未満のため、熱海市長の権限で行い、措置が履行されない場合は、(第3者に代行させ、その費用を旧所有者から徴収する)行政代執行を行うことが想定される」と答弁した。
行政対応の主体は熱海市となるが、県議会に提出されている盛り土規制に関する新条例が7月に施行されれば、県が市から引き継ぐという。また、新土地所有者に対しては、砂防ダム(占有者は県)に上流部の土砂が過剰に流れ込んだ場合、県が土砂の除去要請を行い、履行されない場合、民事裁判で土砂の撤去を求めるとしている。
(熱海ネット新聞)
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。