
名誉市民で文化勲章受章者の作家杉本苑子さん=5月31日に91歳で死去=の熱海市葬が7月19日、熱海市の起雲閣で営まれた。齊藤栄市長、川口健市議会議長、川口市雄前市長、内田進熱海商議所会頭、市議、バイオリニストの佐藤陽子さん、脚本家の小山内美江子さん、杉本さんの弟夫人の杉本紀穂さん、出版関係者など約90人が参列し、故人をしのび冥福を祈った。
式は無宗教の形で行われ、葬儀委員長の齊藤栄市長が「本日、熱海市名誉市民、杉本苑子先生との絆は一つの節目を迎えるが、このご恩を未来永劫忘れることなく後世に伝えていきたい」と追悼の言葉を述べ、川口前市長と川口議長が「斉藤市長と熱海市に杉本苑子さんの遺志を引き継いでほしい」と異口同音に弔辞を述べた。生涯独身を貫いた杉本さんは、1977年(昭和52年)に熱海市に別荘を構え、80年に移住して熱海市民。95年に文学館の設立を願い、著作権、住居などの全資産を熱海市に遺贈する契約を熱海市と締結した。97年4月10日、熱海市制施行60周年に際して名誉市民となった。
(熱海ネット新聞)
◆杉本苑子(すぎもと・そのこ)1925年、東京生まれ。文化学院卒。歴史小説家。1951年に「申楽(さるがく)新記」が「サンデー毎日」の懸賞に入選したのを機に吉川英治氏に師事して文学修業。63年、江戸時代の薩摩藩士による宝暦治水を描いた「孤愁の岸」で第48回直木賞。NHK大河ドラマ「春の波涛」は「マダム貞奴」「宴府回廊」が原作。87年に紫綬褒章。2002年に文化勲章と菊池寛賞。澤田政廣についで2人目の熱海市名誉市民。
◆市葬 過去の熱海市の市葬は山田弥一氏(昭和53年8月)、川口美雄大氏(同61年9月)、澤田政廣氏(同63年5月)の3人。名誉市民としての市葬は澤田氏に続いて杉本さんが2人目。今回の市葬費用は功績などをまとめた冊子代も含め306万円。
◆記帳所 市役所第1庁舎、南熱海支所、泉支所、市立図書館、杉本さんの旧宅「彩苑」(西熱海町)。午前9時(彩苑は10時)~午後4時。21日まで。
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