古い建物を新たに活用する「リノベーション」や体験交流ツアー「熱海温泉玉手箱(オンたま)」などによって、10年にわたって熱海の街の再生に取り組んできた市来広一郎さん(39)が、著書「熱海の奇跡」を東洋経済新報社から出した。
かつては新婚旅行や団体旅行のメッカとして栄えた熱海だが、バブル崩壊などのあおりをうけ、2007年には齊藤栄市長が財政危機宣言を発表。その年、市来さんは空き家率が50%を超える熱海にUターンして民間の立場からまちづくり活動を始めた。熱海銀座通りにカフェやゲストハウスを開業し、商店街の雰囲気をがらっと変え人を呼び戻すのに成功した。建物の改装は補助金に頼らず、多くの人が楽しみながら手を貸す「ワークショップ」方式で、NHK「サキどり」でも紹介された。
活動10年の節目の年に出版の企画が持ち上がり、上梓した。市来さんは「多くの人が全国でまちづくりに取り組んでいるが、熱海のような街で10年以上同じ場所で続けているケースはそうない。自分のまちでもやってみたい。全国の人にそんなふうに思ってもらえたらうれしい」と話した。早くも全国のまちづくりに取り組む人たちのバイブルに!
■シェアオフィスなえどこで出版記念イベント
6月16日には、市内銀座町のシェアオフィスなえどこで出版記念イベントが開かれ、齋藤めぐみさんのMCで石渡久照さん、二見一輝留さん、茶田勉さん、小山みどりさん、小倉一朗さん、森田金清さんらがゲストスピーカーで登壇。熱海のまちづくりのキーマンが一堂に会し、この10年の思い出や苦労話などを語った。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
■市来広一郎 1979(昭和54)年熱海市生まれ。東京都立大学大学院 理学研究科(物理学)修了後、日本IBMでコンサルタント業を経験。2007年に故郷熱海にUターンし、民間主導のまちづくりに尽力。宿泊施設「guest house MARUYA」やコワーキングスペース・シェアオフィス「naedoco」などの施設をオープン・運営。まちづくり会社「machimori」代表取締役、NPO法人atamista代表理事。
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