予算46%カット、3市町の観光連携にブレーキ/熱海・箱根・湯河原広域行政推進協議会

観光を基幹産業とする熱海市と箱根、湯河原両町による2018年度広域行政推進協議会(小森高正会長)が7月9日に熱海市役所で開かれ、3市町の議会、行政関係者が出席して観光と防災をテーマに意見交換した。
新年度は「熱海・箱根・湯河原の自然や歴史、文化などの観光資源をPRする観光展開催」「熱海の橙マーマレードや箱根の寄木細工、湯河原のみかんなどの地元の特産品のPR」に加え、伊豆半島ジオパーク世界認定、2020東京五輪・パラリンピック開催などで訪日外国人の増加が見込まれることから「受け入れ環境整備、防災・減災の推進」などを行う。
■今年度予算46%カット 先進地視察も中止
その一方で、今年度の予算は前年度比で46%減。各市町の負担金が各40万円→各10万円に大幅に減らされ、約46万円の繰越金(昨年度予算約163万円、支出合計約117万円)と合わせた総額は87万4千円。
これに伴い、昨年度は実施したDMOによるインバウンド施策に先進的に取り組んでいる草津町(群馬県)、秩父地域おもてなし公社(埼玉)などの視察も中止。出席議員からは「予算が余っているなら、協議会開催は年1回でなく年2回でもいいのではないか」といった存続の意義を問う声も出た。
■観光面での3市町連携に温度差
また湯河原町の議員からは、「観光PRの抽選会で宿泊券を贈呈しても、当たった人以外に波及効果はない。それより、共通のクーポン券を作って連泊の場合は2泊目の部分を助成して1市2町を巡ってもらうのはどうか」の意見があったが、箱根町の幹部職員から「クーポン券等は各市町の観光協会がやっている。早い時期の実現は難しい」ー。こと防災・減災面での協力では一致しながらも、観光面での3市町の連携には温度差があり、行政主導ではなく広域連携DMO組織に移行していく方向性が見て取れた。
■新会長に川端祥介議員(箱根町)
同協議会は7年前に発足し、3市町の議会の広域行政推進特別委員会が中心になって構成。役員改正では輪番制により会長に川端祥介議員(箱根町)、副会長に土屋誠一議員(湯河原町)、小森高正議員(熱海市)を選出した。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
■DMO(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション) 地域と協同して観光地域作りを行う法人。観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として戦略を策定する。

■予算46%減額 負担金(熱海市、箱根町、湯河原町各10万円)。繰越金45万5千円、雑収入1千円。前年度より87万4千円減額の75万6千円。
■齊藤栄熱海市長 富士箱根伊豆を代表する1市2町が本協議会で連携が一層強化され、友好的な関係が築かれている。2年後に東京五輪・パラリンピック、今年4月には熱海市を含む伊豆半島がユネスコ世界ジオパークに認定された。海外からお客様が増える中でどう対応していくか、しっかり連携を図りたい。
■山口昇士箱根町長 大涌谷の噴火から3年半たつが、昨年度は3年ぶりに観光客が2000万人を超え、外国人観光客も順調に増えている。昭和47年に統計を取って初めて宿泊客も50万人の大台突破し54万人を記録した。1市2町の連携が密になることによって、これを1泊だけじゃなく2泊、3拍に結び付けたい。
■冨田幸宏湯河原町長 ここ数日間の大豪雨の動きをみても、災害は行政境を考えることなく襲ってくる。本協議会は観光面のなかに防災面の連携をさらに強化する趣旨で設立された。改めて近隣地域のつながりを高め、深めていく大切さを感じる。


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