熱海市立図書館で18日、創立100年を記念して特別展が始まった。吉田初三郎の熱海温泉を高所からの視点で描いた鳥瞰(ちょうかん)図をはじめ、箱根、鎌倉など日本各地の鳥瞰図などが展示されている。
交通機関も未発達の時代、「鳥の目になって世界を見たい」と願う人々にとって、初三郎が描く鳥瞰図は人気が高く、大正から昭和にかけての観光ブームに乗って「大正の広重」の異名も付いた。今回展示されている「熱海温泉名所図絵」(大正11年)、「熱海温泉理想郷桃山案内」(同14年)は坪内逍遥が同館に寄贈した作品。明治、大正時代の熱海の街並みが見て取れる。
全国有数の観光地「熱海」は鳥瞰図作家に恵まれ、初三郎だけでなく、多くの絵師が「熱海温泉」を題材にした鳥瞰図を残している。今回の特別展では、初三朗の作品とともに、熱海市立図書館が所蔵する「熱海や伊豆を描いた鳥瞰図」も含め約50点を展示している。22日まで。
◇吉田 初三郎(よしだ ・はつさぶろう)大正から昭和にかけて活躍した人気鳥瞰図絵師。生涯において全国の観光地、主要都市1600点以上の鳥瞰図を描いた。しかし、第二次世界大戦が進む中、初三郎式鳥瞰図は港湾等の軍事機密が見て取れ、地政学上好ましくないという軍部の判断で不遇の時代もあった。
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