熱海市議会は3月12日、観光建設公営委員会を開き、2020年度一般会計予算、水道事業会計予算など10案件を審議し、全案を賛成多数などで可決した。
質疑では、新型コロナウイルス感染者の拡大に伴う市独自の経済対策が取り上げられ、総括で川口健委員長が「来年度に見込む水道料(上水道)を市の基金(貯金)で代払いすれば、市民の水道料が1年間無料となり、全員が助かる」と提案。当局に実施を要望した。
国や県は新型コロナウイルス対応で全国の中小企業などに対し、無利子・無担保での緊急資金繰り支援を打ち出しているが、実質、芸妓業やバンケット業(コンパニオン派遣会社)、個人飲食店、自営業者が融資を受けるのは難しい。そこで市は緊急の支出が必要な場合などに備えて積み立ててきた約30億円の基金(貯金)の一部を取り崩し、市独自の資金繰り支援を検討している。しかし、市が直接貸し出すことは法制度上できず、市当局が対応に頭を悩ませていた。
そこで川口委員長が考案したのが、「市が1年間、市内の水道料を肩代わりし、無料にする」という型破り案。基金を市民の水道料に活用すれば、一般市民はもとよりホテル旅館などの観光業、商工業者、農業従事者など広く公平にくまなく効果が行き渡る。
「予算案には来年度の水道収益として18億6500万円が計上されているが、これを一般会計(基金)から出せば、市民は1年間、水道料を支払わなくて済み、会社も助かる。全額が難しいなら半額とか期間を設ける方法もある。全額なら熱海市の新型コロナウイルス対応の本気度を全国にアピールできる」
市当局は「国と県の対応を見ながら、それを補完するような市の対策を検討していく」と述べ、全庁で協議する考えを示した。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
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