熱海港市有地の東急ホテル貸し出し 旅館組合、慎重な判断求める

東急不動産株式会社(東京都港区)が、熱海後楽園ホテルに隣接する熱海港観光施設用地を借り受け、会員制リゾートホテルを建設する提案をしていることに対し、熱海市ホテル旅館協同組合連合会(島田善一理事長)は6月24日、市役所を訪れ、齋藤栄市長に意見書を、竹部隆市議会議長に要望書を提出した。
市長には「公有地を一事業者、それもリゾートホテルの会員という限られた利用者のために、50年もの長期にわたり、立地景観ともに超一等地を独占的に使用させるのは疑問がある。採用・不採用の判断に先立って住民に対する説明会や意見交換会、広く関係団体から意見を聴取する機会を設け、市民の誰もが納得するプロセスを経て、慎重に決める」ことを求め、議長には「この問題を議会で取り上げ、議論してほしい」と要望した。

その理由として、誘客の目玉となっている熱海海上花火大会、海釣り施設および初島、大島への観光客への影響を挙げた。
この市有地に会員制リゾートホテルができると、熱海名物の大空中ナイアガラが現在の450メートルから230メートルほどに制限され、クオリティが保てない。また荒天時は最悪中止が予想される。
現在の花火の打ち上げ場所は、熱海港北防波堤(海釣り施設、第3会場)をメーン会場にナナハン岸壁(第2現場)とナナハン岸壁横の県用地(第1現場)の3カ所。波をかぶる恐れのある荒天時はメーン会場を使わず、第2現場と第3現場で打ち上げてきたが、提案が採用されれば、保安距離(約180メートル)内に同用地があるため3カ所全てが使えず、花火大会自体が中止となる。
また、同用地は現在、駐車場として使用しており、年間約5万台が利用。その多くが海釣り施設利用客と初島、伊豆大島への観光客。行楽客の大幅減少が予想され、市内観光・経済への影響が懸念される。
提案では、東急不動産が約1万400平方メートルの同用地を52年の定期借地権で借り受け、年間賃料2400万円を市に支払う。ここに地上6階、地下1階、客室約180室の商業施設を備えた会員制リゾートホテルを建設して運営するとしている。市は、幹部職員で構成する熱海観光港開発促進本部で審査し、7月中に採用・不採用を決める予定だったが、反発する声が高まり、「7月の期限にこだわらず、時間をかけて審議し、判断する」としている。
(熱海ネット新聞・松本洋二)
意見書を読む
■熱海市ホテル旅館協同組合連合会 熱海温泉ホテル旅館協同組合(島田善一理事長)、南熱海網代温泉旅館協同組合(駒嶺洋理事長)、初島区事業協同組合(新藤康晴理事長)、伊豆山観光旅館協同組合(中川勝仁理事長)、伊豆湯河原温泉旅館協同組合(藤森健司理事長)で構成。

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