熱海土石流 避難住民9人、盛り土めぐり行政への賠償請求検討

熱海市伊豆山で起きた大規模な土石流で被害を受けた住民9人が8月2日、市内で記者会見し、崩落した盛り土の危険性に気付かなかったとして、県や市、土地の所有者らに対し損害賠償の請求を検討していることを明らかにした。
22人が死亡、5人の行方がわかっていない今回の土石流災害では、市街地に流出した土砂の約8割が逢初川上流部に造成した盛り土と推定されている。自宅が全壊した元市職員の太田滋さん(64)は「なぜ土砂が流れ込んだのか。原因を含めて追及していきたい」と説明。自宅を流された田中均さん(64)は「もっと早く盛り土造成工事をストップしていれば、こんな災害人災は起きなかった」と、行政の無作為が被害拡大につながった可能性をを指摘した。

盛り土は、神奈川県小田原市の不動産会社が2007年に熱海市に届け出たあと、2009年に計画に基づいて土砂の搬入を始めた。市と静岡県は流出の危険性があると業者に対策を求めていたが、計画通りに造成されず、条例の基準の約3倍(約50メートル)の高さ、総量も計画と比べて約2倍(7万立方メートル超)あった。

さらにNHKの報道によれば、2011年に盛り土を購入した今の所有者は、2年後の2013年に「安全対策工事施工」と記した文書を県に送付。そこには「前の所有者が熱海市の指導を無視して放置した伊豆山漁港および逢初川下流水域への土砂崩壊による二次災害防止の安全対策工事を施工する」とあったものの、その後、実際に安全対策工事が行われたかや行政の対応については明らかにされていない。県は3カ月をめどに当時の経緯や記録をまとめている。
齋藤栄市長は「人災かどうかは、まず科学的な見地からしっかりと検証をしなければならない。行政の対応についても市がやったことを市が検証しても客観性がない。県に協力して客観性を持った検証を持ちたい」と述べた。
(熱海ネット新聞)

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